フェイクシティ ある男のルール(STREET KINGS)


(2008年 アメリカ)(上映時間1時間49分)
監督:デヴィッド・エアー
出演:キアヌ・リーブス、フォレスト・ウィテカー、ヒュー・ローリー、クリ
ス・エバンス、セドリック・ジ・エンターテイナー、テリー・クルーズ、ナオ
ミ・ハリス、コモン、ザ・ゲーム、マーサ・ヒガレダ、ジョン・コーベット
*TOHOシネマズみゆき座ほかにて全国公開
ホームページ http://movies.foxjapan.com/fakecity/
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<ストーリー>
事件の解決のためには手段を選ばないロス市警の刑事トム・ラドロー(キア
ヌ・リーブス)は、周囲から問題視されていたものの、上司のジャック・ワン
ダー(フォレスト・ウィテカー)が保護してくれていた。そんなある日、かつ
ての相棒ワシントンが強盗事件に巻き込まれ、トムの目の前で殺されてしまう。
犯人を追うラドローだったが、事件の裏には大きな悪が潜んでいて……。

<レビュー>
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強盗事件の裏に潜む巨悪を通して、「正義とは何か?」を問いかける
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1997年に数々の映画賞を受賞した名作『L.A.コンフィデンシャル』の原作者
ジェームズ・エルロイの原案・脚本による犯罪サスペンス。普通の犯罪サスペ
ンスとしてもスリリングで面白いけれど、それだけでなく正義についてあれこ
れと考えさせられる映画です。

主人公はロス市警の刑事。事件の解決のためには、殺さなくてもいい相手まで
殺してしまう過激な男。しかし、彼の力を利用して出世したい上司の保護によ
り、何のお咎めもなく刑事を続けている。

ところが、内部調査担当の刑事が彼に目をつけ始め、さらに今は関係が悪化し
ている元相棒が目の前で殺されてしまう。そこから彼の運命は大きく変わって
いく……。

前半は過激な捜査を展開する主人公と、上司をはじめ周囲の人物の姿をドキュ
メンタリータッチでリアルに描いていきます。冷酷非情に犯人を皆殺しにする
主人公には、戦慄を覚えてしまいます。

後半は、若手刑事とともに元相棒殺害の犯人を探す主人公が描かれます。最初
はギャングによる単純な事件だと思えたのに、その後、事態は二転三転。いつ
の間にか、正義と悪が逆転してしまう構成が見事です。予想もしない展開に翻
弄される主人公には、冷酷非情な面だけでなく、人間臭いところも目立ち始め
ます。そんな主人公とともに観客もまた、どんどん混乱していきます。

前半はそれほどでもありませんが、後半のスリリングさはかなりのもの。後半3
0分ぐらいはまったく目が離せませんでした。

事件の真相自体には、それほど驚きはありません。特に『L.A.コンフィデン
シャル』などを観ている人には……。それでも主人公がどういう決断を下すの
か、ドキドキする展開で、最後の最後まで緊迫感が途切れませんでした。

そして、すべてが終わった後の主人公に対する警察の処遇を通して、正義と悪
が単純なものではなく、考え方一つでどうにでもなる、もろいものだというこ
とが明確に伝わってきます。もはや単純に善悪の判断ができない、今の時代を
反映した映画といえるかもしれません。

主人公を演じたキアヌ・リーブスは、こういう役が似合います。ニヒルでクー
ル、それでいて心に深い傷(妻の死など)を持つ男を好演。『マトリックス』
のイメージが強すぎるけれど、こういう役もやって欲しいですね。

そして、上司役のフォレスト・ウィテカー。クライマックスのキアヌとの対決
シーンは必見です。さすがオスカー俳優とうならされる迫真の演技でした。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(「正義とは何か?」について考えさせられる映画。普通の犯罪サスペンスと
してもスリリングで見応えがあります。)
                             (田中ひろあき(ぽち))
〔鑑賞データ〕
2009年2月15日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時15分の回


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