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フロスト×ニクソン（FROST/NIXON）
（2008年 アメリカ）（上映時間2時間2分）
監督：ロン・ハワード
出演：フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、ケビン・ベーコン、レベッ
カ・ホール、マシュー・マクファディン、オリバー・プラット、サム・ロック
ウェル
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://www.frost-nixon.jp/
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＜ストーリー＞
1974年、ウォーターゲート事件でアメリカ大統領ニクソン（フランク・ランジ
ェラ）が辞任した。それから３年後、アメリカ進出をねらう英国の人気テレビ
司会者デビッド・フロスト（マイケル・シーン）が、ニクソンにインタビュー
を申し込む。さまざまな苦難の末に、どうにかインタビューにこぎつけるフロ
ストだったが……。
＜レビュー＞
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ニクソンとフロストのガチンコのトーク・バトルと舞台裏をスリリングに描く
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ウォーターゲート事件で辞任に追い込まれたものの、自分の罪を認めなかった
ニクソン元大統領に対して、1977年にある司会者が単独テレビインタビューに
成功。その権威を完全に失墜させたそうです。いやぁ〜、そんなことがあった
なんて全然知りませんでした。これまた不勉強でスイマセン。
そんな実話をもとにした映画。はたしてインタビューだけでドラマができるの
かと思ったら、なんのなんの緊迫のドラマに仕上がっているではありませんか。
何よりいいのが、インタビューされるニクソン元大統領と、インタビューする
司会者のデビッド・フロストの人間性をきちんと描いているところ。
大統領は辞めたものの、政治的復活をめざすニクソン。それに対して、アメリ
カ進出の野望をメラメラと燃やすフロスト。そんな２人によるガチンコのトー
ク・バトルがつまらないはずがありません。
前半はインタビューに至る経緯が描かれます。成功したい一心でアメリカのテ
レビ局に必死で番組を売り込むもののうまくいかず、スポンサーもつかない中
で悪戦苦闘するフロスト。それでも、ブレーンたちの努力もあって、どうにか
インタビューにこぎつけます。
そして、ついに開始されるインタビュー。しかし、老練なニクソンの前で、な
すすべなく圧倒されてしまうフロスト。このままニクソンの思い通りに事が運
ぶのか。ところが、最後の４回目のインタビューで……。
２人のトークはまさにバトル。スポーツの試合を見ているような面白さがあり
ます。現場に漂うのは並々ならぬ緊迫感。それでも、結局、話の内容とは違う
ところで勝負が決まってしまうというテレビの恐さも実感させます。
ニクソンを演じるフランク・ランジェラと、フロストを演じるマイケル・シー
ンの演技も素晴らしいですね。なんでもこの物語は、もともとは舞台劇で、そ
こでニクソンとフロストを演じたのもこの２人だそうです。
監督は名匠ロン・ハワード。『アポロ13』などで実話ものは経験済みだし、今
回も冴えた演出。関係者（といっても役者ですが）へのインタビューなどを織
り込みつつ、ドキュメンタリータッチで鋭く描きます。
希代のダメ大統領というレッテルを貼られているニクソンを断罪するのは簡単
ですが、そんな単純な描き方ではなく、彼の人間的な側面（良さも悪さも）を
きちんと描き出したことで、より見応えあるドラマになりました。
アメリカも日本も、マスコミや市民は善悪を簡単に決め付けようしますが、ど
んなに悪いことをした人も、さまざま表情を持つ人間。そのことを再認識させ
られる映画です。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（スリリングなトーク・バトルだけでも面白い映画です。事件のことを知らな
い人も楽しめます。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年3月28日（土）新宿武蔵野館にて。午後4時の回
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