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ガールフレンド・エクスペリエンス（THE GIRLFRIEND EXPERIENCE）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間17分）
監督・撮影・編集：スティーブン・ソダーバーグ
出演：サーシャ・グレイ、クリス・サントス、フィリップ・アイタン、グレ
ン・ケニー、ティモシー・デイビス、デビッド・レビーン、マーク・ジェイコ
ブスン
＊シネマライズほかにて公開
ホームページ http://www.tfc-movie.net/girlfriend/
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＜ストーリー＞
リーマン・ショックに見舞われ、大統領選挙を目前に控えた2008年秋のニュー
ヨーク。高級コールガールのチェルシー（サーシャ・グレイ）は、エリートば
かりの顧客に楽しいひと時を提供し、1時間2000ドルを稼いでいた。一方、私生
活でも恋人のクリスと充実した日々を送っていた。ところが、そんな彼女の前
にある男性客が現れて……。
＜レビュー＞
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高級コールガールが体現するニューヨーカーの孤独
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『オーシャンズ11』などのメジャー作品を手がける一方で、デビュー作『セッ
クスと嘘とビデオテープ』をはじめ、作家性が前面に出たインディーズ作品も
作り続けるスティーブン・ソダーバーグ監督の作品。
主人公は高級エスコート嬢のチェルシー。エリート顧客ばかりを相手に、セッ
クスだけでなく、食事を一緒にしたり、話し相手になったりして、大金を稼ぐ
毎日。私生活でも恋人のクリスと充実した日々を過ごしています。
高級な服に身を包み、客とともに高級レストランで食事をするチェルシー。し
かし、それは本当の彼女ではなく、あくまでも仮の姿。親しげに顧客に接して
も、しっかりとバリアを張って、そこから先への侵入は許しません。そんなチ
ェルシーの姿をソダーバーグ監督お得意のドキュメンタリータッチで、リアル
に描いていきます。
チェルシーにとって、本当の自分を見せられるのが、恋人のクリス。顧客との
関係では得られないものを彼に見出します。しかし、その関係にもやがて変化
が訪れます。ある日、クリスが仕事関係者から男性だけのラスベガス旅行を誘
われます。一方、チェルシーもある客から旅行に誘われます。それをきっかけ
に２人の仲がギクシャクします。
観ていて感じるのは、チェルシーが抱える孤独。虚実の間を巧みに泳いでいる
ようでも、埋めようがない空虚な思いを抱えていることが、チェルシーの虚ろ
な表情から伝わってきます。
そうした孤独は、エスコート嬢という特殊な仕事のチェルシーだけでなく、多
くのニューヨーカーたちが抱えているものなのかもしれません。
映画の背景となっているのは、経済危機や大統領選挙など2008年のアメリカ社
会。ベガス行きの飛行機の中でクリスの同行者たちが繰り広げる会話、チェル
シーと客との会話などを通して、当時の状況が映し出されます（できれば、も
う少しそのへんを強調したほうがよかったと思いますが……）。
資本主義の牙城ともいえるアメリカ・ニューヨーク。そこを舞台にしたからこ
そ、この映画は単なるコールガールの身の上話ではない、もっと普遍的で人間
の根源に触れるような作品に昇華しているのでしょう。
全体にエンタメ性はあまりなく、これといった盛り上がりもありません。しか
し、そこはさすがにエンタメ映画をたくさん手がける監督。時制をバラバラに
して、再構成した編集が効果的で、最後まで退屈せずに観ることができました。
主演は人気ポルノ女優のサーシャ・グレイ。虚飾を売る彼女と主人公とを重ね
合わせたと思われるユニークなキャスティングです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（エンタメ性はないけれど、いかにもソダーバーグ監督らしい映画。ファンは
特に必見でしょう。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年7月18日（日）シネマライズにて。午後3時20分の回
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