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グッド・シェパード（THE GOOD SHEPHERD）
（2006年 アメリカ）（上映時間2時間47分）
監督・製作・出演：ロバート・デ・ニーロ
出演：マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウ
ィン、タミー・ブランチャード、ビリー・クラダップ、マイケル・ガンボン、
ウィリアム・ハート、ティモシー・ハットン、ジョー・ペシ
＊日劇１ほかにて全国公開
ホームページ http://www.goodshepherd.jp/
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＜ストーリー＞
第2次大戦前夜のアメリカ。イェール大学に通うエドワード（マット・デイモ
ン）はスカウトされ、ＣＩＡの前身である戦略事務局（ＯＳＳ）の一員として
国家の諜報活動に従事していく。そんな中、友人の妹クローバー（アンジェ
リーナ・ジョリー）を妊娠させたことから彼女と結婚するが、仕事でロンドン
に長期間赴任し、家族とは疎遠になってしまい……。
＜レビュー＞
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ＣＩＡ誕生を背景にした骨太で重厚な家族のドラマ
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タイトルを見て、賢い犬の話かと思ってしまいました（笑）。
てのは冗談ですが、ロバー・デ・ニーロ13年ぶりの監督作品は、実に３時間近
い大作。とんでもなく重厚な人間ドラマです。その重厚さと、危険な組織に属
する人間の葛藤のドラマという点では、あの『ゴッドファーザー』と共通する
ところがあるかもしれません。
物語の発端は1961年。亡命キューバ人による政府転覆作戦が失敗する。ＣＩＡ
内部から情報が漏れた疑いがあり、作戦の指揮をとったエドワードのところに
不審な写真とテープが送られてくる。それを分析して犯人を突き止めようとす
るエドワード。
というお話と並行して描かれるのが、エドワードがいかにして現在に到ったか
という過去のお話。
名門イエール大学に通うエドワードが、秘密結社に入ったのをきっかけに、軍
にスカウトされて諜報活動に従事。そんな中、付き合っている女性がいたにも
かかわらず、友人の妹を妊娠させ彼女と結婚することに。しかし、ＣＩＡの全
身であるＯＳＳの一員としてロンドンへ赴任したため、家族とは疎遠になる。
６年ぶりに家に戻ったものの仕事に没頭するあまり、家庭との溝が深まってい
く……。
ＣＩＡ誕生を背景に、諜報活動にのめりこむ主人公が、それによって家族とギ
クシャクするようになり、組織と家族との間で葛藤する姿がリアルに描かれて
いきます。純粋であるがゆえに、国家や世界情勢に翻弄され、人間らしさを失
っていく。主人公の悲劇的な人生が胸に迫ります。
マット・デイモンが無口で冷徹な主人公を好演しています。ほんのわずかな変
化で感情の揺らぎを表現する演技はなかなかのものです。
その妻を演じたアンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、タ
ミー・ブランチャード、ビリー・クラダップ、マイケル・ガンボン、ウィリア
ム・ハート、ティモシー・ハットン、ジョー・ペシ、そしてデ・ニーロと、い
ずれも実力者ぞろいの脇役陣も充実しています。
人間ドラマの背景にあるＣＩＡ誕生秘話やソ連との諜報合戦など、興味深いエ
ピソードもズラリと並んでいます。
３時間近い長さを感じさない見事なドラマ。やがて、その果てに、それまで並
行して描かれていた過去と現在のドラマが１つになります。そこに待ち受けて
いるのは衝撃的な出来事。何ともやるせなく、重たい悲劇です。
物足りなさが残るのは、主人公の葛藤が家族を中心としたもので、国家への忠
誠心と良心との間のせめぎ合いなどは、あまり描かれないこと。そのあたりか
ら、現在のアメリカの病巣を照射するような部分があれば、もっともっと魅力
的な作品になったと思うのですが……。
それに、諜報戦がネタだけに、いろんな人物が登場して混乱しがちなのも欠点
でしょうか。観るなら、事前にホームページなどで人物チェックをしたほうが
いいかもしれません。
とはいえ重厚な人間ドラマとして見応えタップリです。「映画を観たぁ〜」と
いう実感を得たい方にオススメ。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（骨太で重厚な人間ドラマ。３時間近い長さが気にならない見応えある映画で
す。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2007年10月28日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時30分の回。
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