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グリーン・ゾーン（GREEN ZONE）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間54分）
監督：ポール・グリーングラス
出演：マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイ
ミー・ライアン、ハリド・アブダラ、ジェイソン・アイザックス
＊TOHOシネマズスカラ座ほかにて公開
ホームページ http://green-zone.jp/
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＜ストーリー＞
フセイン政権陥落直後のイラク、バグダッド。米陸軍のロイ・ミラー准尉（マ
ット・デイモン）は、大量破壊兵器の所在を突き止める極秘任務についていた。
だが、いくら探しても痕跡すら発見できず、ミラーは情報の信憑性に疑問を抱
き始める。独自につかんだ手がかりを国防総省のパウンドストーンに奪われた
ミラーは、ＣＩＡのブラウンと手を組み、調査に乗り出すのだが……。
＜レビュー＞
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イラクの大量破壊兵器をめぐってエンターティメントと社会派を両立
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イラク戦争の開戦の大義とされた"大量破壊兵器"が実際に存在しなかったこと
は、誰もが知っている事実。しかし、どんな経緯でそうなったのか、細かなと
ころまでは知らない人も多いのではないでしょうか。それを明らかにしたのが
『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』のポール・グリーン
グラス監督＆マット・デイモン主演によるこの映画。
バグダッドで大量破壊兵器の発見の任務を遂行していた米陸軍のミラー准尉が、
上からの指示に従って捜索を繰り返しても、何も出てこないことに疑問を持ち、
真実を追求していくうちに、アメリカ政府内部の抗争に巻き込まれていくとい
うお話。
グリーングラス監督といえば、ドキュメンタリー畑の出身でリアルな描写が特
徴。今回も手持ちカメラを多用した映像で、イラクの戦場の様子などをリアル
かつスリリングに描いていきます。
爆弾処理にあたる兵士に焦点を絞ったキャスリン・ビグロー監督の『ハート・
ロッカー』のジリジリするような感じとはまた違った緊張感ですが、自分が戦
場にいるような気分になるところは一緒です。
また、どんなに捜索しても大量破壊兵器が見つからず、疑問を持ち始めたミ
ラーが真相に迫る展開では、サスペンスの醍醐味が味わえます。そこにあるの
は謀略と事実の隠蔽、捏造に走る国防総省。それに乗せられてしまうウォール
ストリート・ジャーナルの女性記者。国防総省と激しく対立するＣＩＡなどな
ど。
クライマックスは圧巻のアクション。イラク軍の高官をめぐる追跡劇と銃撃戦
が手に汗握る迫力で、エンタメ映画としての魅力を十分にそなえています。同
時に、そこでアメリカに翻弄されるイラク人の心情までチラリと見せる心憎さ。
ラストは、主人公のミラーの決然とした行動を通して、観客にそれなりの爽快
感を味あわせます。しかし、もちろんハッピーエンドとはいきません（イラク
の現状を考えれば当然）。観客にいろいろと考えさせるエンディングになって
います。
原作はジャーナリストが書いた本のようですが、脚本にはかなりフィクション
が織り込まれているようです。ミラーが英語のできるイラク人男性と知り合っ
て、真実に迫っていくところはノンフィクションとすれば信じられない都合の
よさ。しかし、逆にそういうところが、エンターティメントとしての面白さに
つながっています。
イラク開戦の背景に何があったのかを知らせ、アメリカ政府のデタラメぶりを
あぶりだした社会派映画の側面と、戦場を舞台にしたサスペンス・アクション
映画としての側面を見事に両立させた映画。見応えはタップリです。
キャストでは、主演のマット・デイモンに加え、国防総省の要人役のグレッ
グ・キニア、ＣＩＡ職員役のブレンダン・グリーソンなども好演。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（社会派映画としてもよくできていますが、単純にエンタメ映画として観ても
十分に楽しめます。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年5月14日（金）池袋ＨＵＭＡＸシネマズにて。午後4時の回
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