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グミ・チョコレート・パイン
（2007年 日本）（上映時間2時間7分）
監督・脚本：ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演：石田卓也、黒川芽以、柄本佑、金井勇太、森岡龍、高橋ひとみ、山崎一、
犬山イヌコ、山西惇、中越典子、マギー、甲本雅裕、大森南朋
＊ テアトル新宿ほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.gumichoco.com/
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＜ストーリー＞
会社をリストラされて実家に戻ってきた大橋賢三（大森南朋）は、高校時代の
同級生・山口美甘子からの手紙を見つける。そこには"あなたのせいなのだから
"と書かれていた。当時の親友に連絡すると、彼女は１年前に自殺したという。
やがて賢三は高校時代に思いをはせる。1986年、高校２年生の賢三（石田卓
也）は、仲間とともに自意識過剰な日々を過ごしていた。ある日、名画座で憧
れの同級生、美甘子（黒川芽以）を見かけるのだが……。
＜レビュー＞
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等身大の男子高校生を奔放に描いた、情けなくて、哀しい映画
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大槻ケンヂの同名小説の映画化。監督は彼のバンド「筋肉少女帯」とともに、
伝説のインディーズレーベル「ナゴムレコード」に所属していた「有頂天」の
ケラことケラリーノ・サンドロヴィッチ。
その後、彼は演劇畑に進んで「ナイロン100℃」という演劇ユニットを主宰。こ
の映画には、そのメンバーや仲間たちが多数出演しています。
まあ、そのあたりに思い入れのない方には、どうでもいい話ですが……。
一人の男子高校生を描いた青春映画です。
主人公は現在39歳。会社を首になった彼のところに、高校時代に好きだった女
の子から、"あなたのせいなのだから"とたった一行だけの手紙が届く。意味が
わからず、当時の親友に連絡をとると、その女の子は１年前に自殺したという
……。
そこからは、1980年代の高校時代の出来事が描かれます。映画と音楽が大好き
で、自分は特別な人間だと思い込んでいる主人公が、同じ感性を持つ女の子を
好きになります。なかなか好きだと言い出せないものの、オールナイトの名画
座でのデートらしきものにこぎつけたと思ったら、やがて２人に待っていたの
は……。
そんな甘酸っぱい恋の思い出に加え、仲間とバンドを組んだり、エッチなこと
に走ったりと、ごくありきたりの高校生の日常が描かれます。
驚くのがオープニングで『スウィングガールズ』をはじめ青春映画のヒット作
を挙げて、「あんなものは映画の中だけのこと」と宣言していること。ならば、
この映画では徹底的に青春のリアリティーを追求しているのか？
どんな描き方をしているかといえば、ありがちな高校生の日常を大胆かつ自由
にデフォルメして、ユーモアタップリに描いています。全編ギャグ満載で、主
人公の空想、妄想はもちろん、最後のほうでは宇宙人まで登場させる奔放ぶり。
では、リアリティーがないかといえば逆です。好き勝手に描いても、けっこう
リアルに感じられるんです。その理由は、現在の輝きを失った主人公が同時に
描かれているから。"こんなになっちゃった"今の自分を自嘲しつつ、その視点
で過去を振り返っているので、暴走気味の描写もどこかノスタルジック。美化
も矮小化もされていない、等身大の青春が見えてきます。
ああいうことって誰にでも経験があることなので、よけいにリアルですよね。
ラストでは、"あなたのせいなのだから"の手紙の謎が解明されます。切ない恋
の結末としては、ありがちなオチですが、それでもけっこう感動させられます。
おまけに、そこでグッとさせたあとで、「どうです『ニュー・シネマ・パラダ
イス』みたいでしょう？」と言い放つ、その人を食った態度。これには笑って
しまいました。
青春とは実に情けなくて、哀しいもの。だからこそ輝いているのだということ
が、よく伝わってくる映画です。
主人公はじめ男子高校生もいいのですが、主人公が好きになるヒロイン役の黒
川芽以が、いかにも80年代のアイドルっぽくて面白い存在でした。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（全体に笑いに走りすぎている感はありますが、青春の情けなさや哀しさ、そ
して輝きは伝わってきます。青春映画の好きな方なら……。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年1月19日（土）テアトル新宿にて。午後4時5分の回。
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