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ハチミツとクローバー
（2006年 日本）（上映時間１時間56分）
監督：高田雅博
出演：櫻井翔、伊勢谷友介、蒼井優、加瀬亮、関めぐみ、堺雅人、西田尚美
*DVD発売中
ホームページ http://hachikuro.jp/
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＜ストーリー＞
浜美大に通う竹本（櫻井翔）は花本研究室で知り合った森田（伊勢谷友介）、
真山（加瀬亮）、あゆみ（関めぐみ）たちと楽しい学園生活を送っていた。そ
んなある日、花本先生の姪のはぐみ（蒼井優）が入学してくる。竹本は彼女に
恋してしまう。一方、真山は年上の女性理花に、一途な想いを寄せていたが、
そんな真山の想いを知るあゆみも、彼への気持ちを抑えることができなかった
……。
＜レビュー＞
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美大生たちの片想いが切ない。みずみずしい青春群像
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青春は切ない。いや、青春だけでなく、人生そのものが切ない。想いの空回り
の連続なのだから……。
ＴＶアニメ化もされた羽海野チカ原作の人気少女コミックを実写映画化したこ
の作品は、美大に通う５人の男女それぞれの想いの空回りを巧みに切り取り、
切なく、そしてみずみずしい青春群像を生み出している。
登場するのは、浜美大に通う竹本、森田、真山、あゆみ、そして、はぐみ。竹
本たちは、花本先生の研究室で知り合った仲間。そこに花本先生の姪のはぐみ
が入学してくる。
５人の関係を箇条書きにすれば、
・ 竹本→はぐみに会った瞬間に恋に落ちる。
・ 真山→年上の女性理花にストーカー的片想い。
・ あゆみ→その真山の気持ちを知りつつ好きになる。
・ はぐみ→自由奔放な森田が好きになる。
つまり、登場する恋愛のほとんどが片想いなのだ。
このシチュエーションだけで、すでにかなり切なく、甘酸っぱい。
しかも、５人のキャラクターがどれも個性的だ。竹本は、純朴そのものの青年。
森田は外国帰りで突飛な行動が目につく自由人。真山はちょっぴり暗めで偏執
的な性格。あゆみは、純情一途な女性。そして、はぐみは、可憐な容姿とナ
イーブな性格に似合わずダイナミックな抽象画を描く女の子。
彼らが繰り広げるドラマに、特別劇的なことが起きるわけではない。飲み会、
バイト、勉強、予定外のドライブ旅行など、大学生にはよくある日常だ。だが、
そんな等身大の日常をみずみずしく描いたからこそ、彼らの恋がよけいに切な
く、甘酸っぱいものに感じられるのだ。
ここで描かれる恋愛劇に深みがあるかといえばそうではない。５人の中にある
愛憎がきっちりと描かれるわけでもなく、ある意味、表面的な描き方しかして
いないともいえるだろう。
だが、この映画の狙いが、観客の誰もが持つ青春の片想いの記憶に訴えかける
ということなら、その狙いは十分に達成されている。記憶とは、過去の出来事
をそのまま記録したものではなく、自分の都合の良いように脚色、改ざんされ
たものである。かつての恋愛に、どんな愛憎があろうとも、記憶の中ではすべ
てが美化され、思い出のひとコマとなってしまう。
それを覚醒させるのに必要なのは、あの日の気温であり、そよ風だ。赤裸々な
事実などなくてもいい。いや、むしろそんなものはないほうが、観客の記憶と
スクリーンの中の若者たちの心理が共鳴しやすくなる。
そして、ボクは見事に青春の日の記憶を覚醒させられてしまった……。
それにしても、はぐみ役の蒼井優の素晴らしさよ。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（片想いの切なさが伝わってくる映画。青春の日の思い出が蘇るはず。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年6月 ＤＶＤにて鑑賞。
[「は」のページ] |
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