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ハゲタカ
（2009年 日本）（上映時間2時間14分）
監督：大友啓史
出演：大森南朋、玉山鉄二、栗山千明、高良健吾、遠藤憲一、松田龍平、中尾
彬、柴田恭兵、嶋田久作、志賀廣太郎、小市慢太郎、グレゴリー・ペーカー、
脇崎智史
＊TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて全国公開
ホームページ http://www.hagetaka-movie.jp/
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＜ストーリー＞
徹底した合理主義で日本企業を次々と買い叩き、"ハゲタカ"の異名をとった敏
腕ファンドマネージャーの鷲津政彦（大森南朋）だが、今は日本の閉鎖的な
マーケットに絶望し、海外で暮らしていた。そんなある日、かつての盟友の芝
野（柴田恭兵）が訪れ、中国系ファンドによる日本の大手自動車メーカー「ア
カマ自動車」の買収を阻止してほしいと依頼する。ファンドを率いる残留日本
人孤児三世の劉一華（玉山鉄二）は、鷲津が勤務していた米ホライズン社の元
同僚だった……。
＜レビュー＞
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リアルでスリリングな経済ドラマ。テレビ版を見ているとさらに面白さが
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ＮＨＫで放送されて大評判になったドラマの映画化。その４年後という形にな
っています。
こういう経済ドラマは、取り上げる素材のタイミングをはずすと、面白さが半
減します。このドラマで重要な要素になるのは外資系ファンドによる企業の買
収劇。景気後退などで以前ほどホットなネタでなくなったので心配だったので
すが、そこに派遣切りやリーマン・ショックなどの新しいネタも盛り込んで、
リアルさを出しています。
舞台になるのは日本の名門自動車メーカー「アカマ自動車」。謎の中国系ファ
ンドが友好的と称して買収を仕かけてきます。それに対して、アカマ自動車の
役員を務める芝野が、かつての盟友の鷲津に対して、「ホワイトナイト」とな
って会社を救うように要請します。
現実の経済・社会状況をふまえつつ展開するドラマは、サスペンスドラマのよ
うなスリリングさにあふれています。劉一華率いる中国系ファンドと、鷲津率
いる鷲津ファンドの攻防は迫力十分。手に汗を握る展開です。経済の知識のな
い人でも、面白さが伝わってくるのではないでしょうか。
テレビドラマの時から、映像の見事さは際立っていましたが、映画になってさ
らに進化。光と影を巧みに使ったスピーディーなカメラワークが冴えます。
劉ＶＳ鷲津の戦いは、シンプルな善ＶＳ悪の対決ではありません。それぞれに
複雑な背景を背負った屈折した戦いです。しかも、中国政府をバックにした劉
の圧倒的な力の前に、正攻法ではとてもかなわない鷲津は、そこで驚きの秘策
に打って出ます。それがリーマン・ショックに深く関わってくるのです（とい
っても、映画の中では当然リーマンではなく別の名前になっていますが）。
テレビでも存在感を発揮していた大森南朋と、今回新たに登場した玉山鉄二の
演技も見応えがあります。
現在の世の中に対する批判的な視点も盛り込まれています。行くところまで行
ってしまった資本主義の惨状、目を覆いたくなる拝金主義、相変らず既得権益
を守ることしか考えない日本の政治家や経済人……。
お子様や若い人向けの映画ばかりが流行る最近の日本ですが、こういう骨太の
大人向け映画も、もっともっと登場して欲しいですね。
ただ残念なのは、テレビを見た人でないとわかりにくいところがあるところ。
たとえば、鷲津の行動についても、過去の鷲津を知っているのとそうでないの
とでは、かなり違って見えてきます。また、松田龍平演じる旅館のオーナー、
栗山千明演じる新聞記者なども、それぞれの過去を知らないと人間ドラマとし
て物足りなく感じられるはず。テレビ版とセットで考えると、文句ナシに素晴
らしい作品なのですが……。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（骨太の経済ドラマで見応えタップリ。最新状況を盛り込んだ努力にも脱帽。
ただし、テレビドラマを観ていないと面白さが伝わりにくいのが残念。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年6月10日（水）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時15分の回
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