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ハンニバル・ライジング（HANNIBAL RISING）
（2007年 アメリカ・イギリス・フランス）（上映時間２時間１分）
監督：ピーター・ウェーバー
出演：ギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンス、ケヴィン・マ
クキッド、スティーヴン・ウォーターズ、リチャード・ブレイク
＊日劇PLEX、シネマメディアージュほかにて全国公開
ホームページ http://www.hannibal-rising.jp/
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＜ストーリー＞
1944年のリトアニア。名門貴族レクター家の長男ハンニバルは、爆撃により両
親が殺され、幼い妹ミーシャと山小屋に隠れ住んでいた。ある日、残忍な逃亡
兵グループが山小屋を乗っ取り、悲惨な事件が起きる。心を閉ざしたハンニバ
ル（ギャスパー・ウリエル）は、やがてパリの叔父のもとへと向かう。叔父は
この世を去り、未亡人の日本人女性レディ・ムラサキ（コン・リー）がハンニ
バルを迎えるのだが……。
＜レビュー＞
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アンソニー・ホプキンスものとは違った雰囲気の猟奇サスペンス
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『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『レッド・ドラゴン』に続く"ハンニバル・レ
クター"シリーズ第４弾。
とはいえ肝心のアンソニー・ホプキンスは出ていません。その代わり、フラン
スの若手期待株ギャスパー・ウリエル（『ロング・エンゲージメント』）が、
若き日のレクターを熱演。いったいなぜレクターが殺人鬼になったのかを解き
明かしていきます。
シリーズ原作者のトマス・ハリスが新たに原作を書き下ろし、脚本も手がけて
いるとあって、オリジナルの雰囲気を残しつつ新たな世界を構築しています。
スタートはレクターの幼年時代。リトアニアでナチスＶＳソ連の戦いの最中に
両親を失い、妹とともに山小屋に隠れ住むものの、やってきた逃亡兵たちによ
って衝撃の事件が。心の傷を抱えたレクターは孤児院に入れられるが脱走して、
パリの叔父のもとへ。しかし、叔父はすでに死んで、未亡人の日本人レデ
ィー・ムラサキに迎えられる……。
レクターが恐ろしい人物になった原点を、第二次世界大戦中の悲劇に求めたあ
たりは、なかなか興味深い設定です。
また、彼を見守る女性を日本人にして、日本刀などの日本的アイテムを効果的
に使うあたりも印象的。ちょっとあざといけどね。
特に前半は、レクターのトラウマを巧みに描いて、ただの猟奇サスペンスにと
どまらない魅力を加えています。監督は、『真珠の耳飾りの少女』のピー
ター・ウェーバー。映像の美しさも大きな魅力。主演のギャスパー・ウリエル
の華奢な美青年ぶりも、サイコパスのコワさを増幅しています。
ただし、中盤以降は基本的によくある復讐劇。それもとびっきりエグい、気色
悪いシーン満載の展開です。レクターによる殺人シーンは、残虐の域を越えて、
おぞましいの一語。
ストーリー的には、レディー・ムラサキが敵方に捕らわれるヒネリはあるもの
の、それ以外はストレートに復讐劇が進行するだけ。レクターと同じように戦
争で家族を失った警視が登場するものの、あまり効果的な動かし方とは思えま
せん。
もちろん、レクターものは猟奇的でＯＫなわけですが、それにしても、もう少
しプラスアルファの要素があってもよかったのでは？
この映画でのコワサは、そのものズバリのコワサ。殺人シーンなどのエグさだ
けが目立ちます。
これが、アンソニー・ホプキンスの主演作となると、もっと重層的な怖さが体
験できます。彼がそこにいるだけで背筋ゾクゾクもの。さらにクラリス捜査官
とのやりとりなども、すさまじい緊張感の連続でした。
頑張っているとはいえ、ギャスパー・ウリエルにそういうものを求めるのは無
理だろうから、そのものズバリのコワサを中心に据えたのもわかるのですが…
…。
まあ、これまでのレクターものと切り離して、違った目で見れば、それなりに
よくできた猟奇サスペンスかもしれません。
それにしても、コン・リーったらもうけっこうな年なのに若いなぁ〜。相変わ
らずキレイ。悪役のリス・エヴァンスもなかなかキレた悪役ぶりでした。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（それなりによくできた猟奇サスペンス。アンソニー・ホプキンス主演作とは
切り離してご覧ください。おぞましさやエグさはかなりのもの。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年4月29日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時45分の回
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