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瞳の奥の秘密（EL SECRETO DE SUS OJOS）
（2009年 スペイン・アルゼンチン）（上映時間2時間9分）
監督：ファン・ホゼ・カンパネッラ
出演：リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、パブロ・ラゴ、ハビエル・ゴ
ディノ、ホセ・ルイス・ジョイア、ギレルモ・フランチェラ
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://www.hitomi-himitsu.jp/
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＜ストーリー＞
刑事裁判所を定年退職したベンハミン（リカルド・ダリン）は、25年前に担当
した未解決の殺人事件について小説を書くことにする。事件当時の職場を訪れ、
元上司で今は検事に昇格したイレーネ（ソレダ・ビジャミル）と再会するベン
ハミン。イレーネとともに当時の捜査を振り返りながら、殺人事件の真相に迫
っていくのだが……。
＜レビュー＞
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サスペンスと秘めたロマンスでつむいだ巧みなドラマ
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2009年度のアカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したサスペンス・ドラマ。
元裁判所職員が25年前の猟奇殺人事件の謎を追うというドラマを通して、彼の
秘めた恋心も描くというユニークな構成。巧みな脚本、演出が光ります。
退職した元裁判所職員のベンハミンは、25年前の未解決事件について小説を書
くことにします。それは、銀行員の妻が自宅で暴行殺害された事件。ベンハミ
ンは小説執筆にあたって、かつての上司で今は検事になっているイレーネに会
いに行きます……。
主人公ベンハミンの現在進行形のドラマと、25年前に起きたことが並行して描
かれます。現在進行形のドラマでは、どうしても事件が忘れられないベンハミ
ンのこだわりが前面に描かれます。そのこだわりは、彼の秘めた恋心にも関係
しています。
一方、25年前のドラマでは、サスペンスの醍醐味が味わえます。おぞましい殺
人事件の犯人は誰なのか。被害者の夫、幼なじみなどが絡んで、謎が深まりま
す。ベンハミンは部下とともに必死で犯人を追うものの、なかなか解決に至り
ません。ベンハミンの強引な捜査などもあって、スリリングな捜査劇が繰り広
げられます。
事件はいったんは迷宮入り。しかし、容疑者発見に執念を燃やす被害者の夫を
目にしたベンハミンは、イレーネとともに捜査を再開し、ついに真相に迫りま
す（サッカースタジアムでの逮捕劇が迫力満点）。ところが、犯人逮捕後に予
想もしないことが起きます。
事件の顛末の背景にあるのは、軍事政権下にあった当時のアルゼンチンの複雑
な状況。司法の独立などないに等しく、それがベンハミンたちを苦しめます。
さらに、ベンハミンの部下に悲劇が訪れます。
クライマックスは、どうしても真相を確かめたい現在のベンハミンが、被害者
の夫の行方を突き止めて会いに行く場面。かつて「犯人を死刑にするよりも、
一生刑務所に閉じ込めたい」と語っていた夫が、吹っ切れたようにしているの
はなぜか。その裏に隠された驚愕の真実とは……。スティーブン・キングのホ
ラーを連想させるようなゾクゾクする展開です。
ロマンスの結末を描いた余韻の残るラストも心に残りました。
オープニングで登場する駅のホームでの別れのシーンなど、映像も情感タップ
リで見応え十分。
「瞳の奥の秘密」というタイトルが秀逸です。言葉には出せないけれど瞳の奥
には確実に潜んでいる秘密。それがこのドラマのキーポイント。アルゼンチン
の歴史を背景に、未解決事件を巡るサスペンスを縦糸に、そして秘めた恋を横
糸につむいだ巧みな物語です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（サスペンス、ロマンスなど様々な要素を持った映画。巧みな語り口で観客を
飽きさせません。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年8月22日（日）新宿武蔵野館にて。午後1時35分の回
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