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人のセックスを笑うな
（2007年 日本）（上映時間2時間17分）
監督：井口奈己
出演：永作博美、松山ケンイチ、蒼井優、忍成修吾、市川実和子、藤田陽子、M
ariMari、あがた森魚、温水洋一、桂春團治
＊ シネセゾン渋谷ほかにて全国公開
ホームページ http://hitoseku.com/
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＜ストーリー＞
美術学校に通う19歳の磯貝みるめ（松山ケンイチ）は、非常勤講師としてやっ
てきた20歳年上の猪熊ユリ（永作博美）に絵のモデルを頼まれ、彼女のアトリ
エを訪れる。２人は関係を持ち、みるめはユリに夢中になるが、彼に恋心を抱
いていた同級生の女の子えんちゃん（蒼井優）は、ショックを受ける。だが、
やがてユリが結婚していることがわかって……。
＜レビュー＞
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独特の雰囲気に包まれた、リアルで、ゆる〜い恋愛映画
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井口奈己監督の前作は榎本加奈子主演の『犬猫』。筆者は、そのゆる〜い感じ
がけっこう気に入ったのでした。
その井口監督が、山崎ナオコーラの同名小説を映画化したのがこの作品。タイ
トルはけっこう過激ですが、別にエロい映画ではありません。よくある恋愛映
画です。
19歳の美術学校の学生が、39歳の非常勤講師（実は人妻）とデキてしまい夢中
になる。それに嫉妬する同級生の女の子。そして、その女の子に恋心を持つ男
の子。そんな４人の恋愛模様をユーモアを交えつつ描いていきます。
全編に流れるゆる〜い空気は前作とまったく同じ。ドラマチックなこともほと
んどなくて、どこにでもいそうな、どうということもない普通の男女の日常が
淡々と描かれます。
主人公の男の子と年上の女性がイチャつくところや、女の子がお菓子をバクバ
ク食べるところなど、大して意味のないようなシーンが延々と続くのがユニー
ク。役者たちの演技も自然で、「それってアドリブ？」と思わせるところがあ
ちこちで見られます。
引きの映像やオフマイクで拾った音などが多く、被写体とかなり距離を置いて
いるのも特徴です。
こうした描写を通して伝わってくるのは、リアルで等身大の登場人物たちの姿。
年上の女性を好きになってウキウキするものの、やがて彼女が人妻だとわかっ
て身悶えする主人公。彼を好きなのにどうにもできない女の子の苦しみ。そん
な心理がリアルに伝わってきて、何とも言えない気持ちになってしまいます。
主演の松山ケンイチの若々しさ、その相手役の永作博美の小悪魔的な雰囲気も
良いけれど、一番良いのはやはり同級生の女の子役の蒼井優でしょう。片想い
のつらさがヒシヒシと伝わってきて、たまりませんでした。
個人的には、なかなか楽しい映画でした。ゆる〜い雰囲気とそこはかとない
ユーモアが効いています。
しかし、そこについてこられない人にとっては、あまり楽しくない映画かもし
れません。男女のふざけあいなど盛り上がりのないシーンを延々と見せられて、
途中で飽きてしまう人もいそうです。
それにしても2時間17分は長いですね。もうちょっとカットして2時間ちょっと
の映画にしたほうがよかった気がします。
井口監督の感性で撮っている部分が目立ちますが、これだけ長い映画なので、
もう少し緻密に計算した部分がないと、観客にとってはつらいかもしれません。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆
（個人的には、前作同様の雰囲気で、それなりに満足。しかし、それについて
これない人は、途中で飽きてしまうかもしれません。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年2月23日（土）新宿武蔵野館にて。午後2時の回
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