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インランド・エンパイア（INLAND EMPIRE）
（2006年 アメリカ）（上映時間３時間）
監督：デヴィッド・リンチ
出演：ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタン
トン、ジャスティン・セロー、カロリーナ・グルシュカ、ウィリアム・Ｈ・メ
イシー、裕木奈江
＊恵比寿ガーデンシネマほかにて公開
ホームページ http://www.inlandempire.jp/
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＜ストーリー＞
街の実力者である夫と豪邸に暮らす女優ニッキー（ローラ・ダーン）は、ポー
ランド映画「47」のリメイク「暗い明日の空の上で」の主演に抜擢される。だ
が、不倫を描いた映画の内容とリンクするように、ニッキーは共演者デヴォン
と関係を持つようになる。次第に現実と映画の区別がつかなくなった彼女は…
…。
＜レビュー＞
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ワケはわからないけど、けっこうオモロイ。デヴィッド・リンチ節全開の映画
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さっぱりワケがわからん映画でした！ 隊長。
だって、そりゃそうでしょ。デヴィッド・リンチ作品といえば、1999年の『ス
トレイト・ストーリー』を除けば、ほとんどが難解。『マルホランド・ドライ
ブ』以来５年ぶりのこの映画は、その中でも群を抜く難解さです。
女優ニッキーが映画の主演に起用されたものの、その映画はリメイクもの。し
かも、不思議な事件によって未完成となった映画のリメイクだとわかる。そし
て映画の内容そのままに、彼女は相手役の俳優と不倫関係になり……。
初めのうちは、サスペンスとしてそれなりに理解可能。「人間の二面性」や
「記憶の曖昧さ」がテーマではないかと解釈したワタクシ。
しか〜〜〜し！ まもなく理解するのを放棄しました。ホントにワケわかりま
せんもの。意味不明な登場人物が出てきて、意味不明な行動をする不条理。な
んなんだ？これは。ロスト・ガールはともかく、ウサギの家族が登場した日に
は、これを理解しろというほうが無理でしょう。
聞くところにやると、役者も意味不明なまま演じていたという話。ひょっとし
たらリンチ監督自身、意味なんてどーでもよかったりして！？
ま、要するに理詰めで考える映画ではなくて、ちょうど抽象画を鑑賞するよう
に、感覚的にとらえるべき映画なのだと思います。
そう思えば、細部まで凝りに凝った映像が、魅力的に見えてくるではありませ
んか。美しくて、ミステリアスで、ショッキングな映像が次々に登場。あまり
高精度ではないＤＶカムによる撮影も、妙な味が出ているからおもしろいもの。
不思議な記号、照明スタンド、ナイフなど、ナゾを増幅する道具立てもバッチ
リです。
プロデューサーも兼ねるローラ・ダーンの怪演がこれまた印象的。リンチ監督
とは『ブルーベルベット』『ワイルド・アット・ハート』に続く３度目のコン
ビですが、『ジュラシック・パーク』をはじめ超エンタメ映画もこなす懐の深
さが、演技に幅を持たせています。
そして、あの裕木奈江もご出演。本人によると「ファンだったから見学に行っ
たら、出てみないかと言われた」そうですが、チラっとしか出ていないのかと
思ったらなんのなんの。セリフもたくさんあって、かなり目立っていましたヨ。
結局のところ、最後の最後までわかったようなわからないような。いや、やっ
ぱりわかりませ〜〜ん！ 最後の踊りは何なんだ？？？ 観客サービスなの
か？？？
とはいえ、リンチ節が全開でけっこう楽しい映画でした。リンチ監督らしい映
像美と、次々に襲いかかる不条理の嵐にやられてしまいました。過去のリンチ
作品が好きな方はたぶん楽しめるはず（ただし３時間は長すぎ〜〜）。
それにしても、この難解な映画に、どうしてあんなにたくさんの観客が？？？
恐るべしデヴィッド・リンチ。それが一番不思議かも……。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆
（リンチ節全開なので好きな人は楽しめます。抽象画を鑑賞するつもりで見に
行きましょう。しかし、３時間は長いぞ〜〜〜。オシリが痛くなりました。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年8月11日（土）恵比寿ガーデンシネマにて。午後3時の回。
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