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犬神家の一族
（2006年 日本）（上映時間2時間15分）
監督：市川崑
出演：石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、
加藤武、中村敦夫、葛山信吾、池内万作、螢雪次朗、永澤俊矢、石倉三郎、尾
藤イサオ、林家木久蔵、三谷幸喜、深田恭子、奥菜恵、岸部一徳、大滝秀治、
草笛光子、中村玉緒、仲代達矢
＊有楽座ほか東宝系にて全国公開
ホームページ http://www.inugamike.com/
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＜ストーリー＞
昭和22年、信州・犬神財閥の当主佐兵衛が逝去した。その遺言状を管理する法
律事務所の若林は、家族内で問題が起きることを予期し、東京から探偵の金田
一耕助（石坂浩二）を呼び寄せる。だが、金田一が諏訪に着いた日に若林が殺
害される。そして、公開された驚愕の遺言状をめぐって、さらなる惨劇が展開
していく……。
＜レビュー＞
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91歳の巨匠による自作リメイク。破格の映像美がスクリーンを彩る
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今年91歳の巨匠・市川崑監督が、角川映画の第１回作品として76年に公開され
大ヒットした横溝正史原作の自作ミステリーを完全リメイク。
自分でリメイクするわけだし、主演も同じ石坂浩二だから、前作とそんなに違
わないと思ったら、違わないどころかそのまんまなんですよ。時代設定もス
トーリーも同じ。脚本も前作とほぼ同じ。
実は筆者は前作を観ていて（確かテレビだったと思うけど）、事件の構図も犯
人も全部知っているのです。昔、原作も読んだような記憶が……。これはミス
テリーを観るに当たって致命的なこと。
それに当時は斬新に思えた事件の構図や、その背景のドラマも、今にしてみれ
ばさすがに古臭い感じは否定できません。また、よく考えるとツッコミどころ
もいくつかあったりします。
なので、きっと途中で退屈してしまうと思ったのです。
ところが、なんとまあ最後までまったく飽きませんでした。2時間10分以上もあ
るのに、ちっとも長く感じませんでした。
それというのもケタはずれの魅力を持つ映像のせいです。光と影を効果的に使
い、カメラワークも鮮烈、そして計算しつくされたカット割り。セットや小道
具も細部まで見事に作りこまれています。とにかくすべてが美しく、妖しく、
どのシーンもそのまま絵画にしたいぐらいです。
もともと映像へのこだわりには定評がある市川監督ですが、最新のテクノロ
ジーも加わって、さらにパワーアップしています。これだけ素晴らしい映像は、
今の日本映画ではなかなかお目にかかれないでしょう。
さらに、超豪華キャスト（あまりにも豪華すぎるので、いつもより多めに書い
ておきました）を活かしきった濃密なドラマも見応えがあります。特に富司純
子、松坂慶子、萬田久子の三姉妹のやり取りは迫力満点。主演の石坂浩二の年
を感じさせない演技（でも走るところはやや苦しそう？）、加藤武の警察署長
の飄々とした味など、前作と同じキャストも良い味を出しています。松嶋奈々
子も適役だし、中村敦夫の弁護士も存在感十分。
その他にも、深キョンがも良いアクセントになっていたりして、こうした俳優
陣の演技を眺めているだけでも楽しい映画。
前作を観ていない人に、市川監督の素晴らしさを知ってもらうには格好の映画
ではないでしょうか。日本映画史に残る巨匠の魅力がタップリ詰まっています。
すでに前作を観た人にとっても、映像美を中心に一見の価値があります。
あそこまで完成度の高かった前作を、これだけ魅力的にリメイクするのですか
ら、さすがですねぇ〜。できれば、この素晴らしい世界をまったくの新作で表
現して欲しかった気もしますが、91歳の監督にそこまで求めるのは酷というも
の。素直に、この映画を楽しみましょう。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（前作を観た方も観ていない方も一見の価値あり。いくらお金をかけたとはい
え、91歳にしてここまでの映画をつくれるのだからやっぱり巨匠デス。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年12月16日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時30分の回
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