インベージョン(THE INVASION)


(2007年 アメリカ)(上映時間1時間36分)
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
出演:ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、ジェレミー・ノーサム、
ジャクソン・ボンド、ジェフリー・ライト、ヴェロニカ・カートライト
*渋谷東急ほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/theinvasion/
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<ストーリー>
スペースシャトルが地球に墜落し、その残骸に付着していた謎の生命体が原因
で、伝染病が発生する。そんな中、精神科医キャロル(ニコール・キッドマ
ン)のもとに元夫から「息子に会いたい」という連絡が入る。自分の患者が
「夫が別人のようになった」と訴えたことに不審を持ったキャロルは、恋人の
医師ベン(ダニエル・クレイグ)らとともに、未知のウイルスが人間を変質さ
せていることを突き止めるのだが……。

<レビュー>
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古典SF4度目の映画化。人間ドラマとエンタメ性との折り合いに難点
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スペースシャトルが墜落。その破片についた謎の生命体が原因で、人間がエイ
リアンに乗っ取られてしまう……というSFスリラー。

どこかで聞いたような話ですが、それもそのはずSF小説の古典ジャック・フ
ィニイの『盗まれた街』の4度目の映画化です。ちなみに過去3作は1956年の
『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』、1978年の『SF/ボディ・スナッチ
ャー』、1993年の『ボディ・スナッチャーズ』。

4度も映画化されるのは、それだけ原作が良いからでしょうが、それにしても他
にネタはないのかい???ハリウッドは。

この映画の特徴は、親子の愛をドラマの中心に据えているところ。ニコール・
キッドマン演じる主人公の精神科医キャロルは、別れた夫の願いで息子を預け
ます。ところが、その元夫がウイルス感染者であることが発覚。このままでは
息子も感染してしまうと考えたキャロルは必死で息子を取り戻そうとします。

さすがにニコールの演技は迫真の演技。子供を思う親の必死さがよく出ていま
す。ちなみに、その恋人役は「007」のダニエル・クレイグ。

演出も、時間を少しだけ前後させたり、カメラアングルに凝ったりと、細かな
工夫をしながらスリリングな映像を生み出しています。

面白いのが、ウイルスに感染してもすぐにエイリアンに乗っ取られるのではな
く、眠ると乗っ取られてしまうという設定。そのため、映画の後半で感染した
キャロルは眠るまいと必死に睡魔と戦います。そのあたりの描き方もスリリン
グ。

ただし、全体に中途半端な感じがします。たとえば、外見上は普通の人間なの
に中身は乗っ取られているという恐怖。そういう人物がウジャウジャいて、
「いったいコイツは乗っ取られているのか、それとも正常なのか?」と疑心暗
鬼になる主人公……てな展開があれば、もっと面白くなったと思うのですが。

「エイリアンが地球人を乗っ取ったら、世界が平和になってしまった」という
皮肉な現象も、効果的に使って欲しかったですね。「人間が争わなくなったら、
それは人間ではない」という深〜いセリフが劇中に出てくるだけに、それをめ
ぐってドラマを展開させたらよかったのに……。

肝心の親子の愛のドラマも、それなりにまとめられてはいるけれど、アクショ
ンなどのエンタメ性との折り合いが悪く、心が動かされません。しかも、クラ
イマックスがド派手なカーアクションてのはどうなんですか?この映画には全
然似合わないように思えます。あれじゃ、ただのアクション映画。

というわけで、全体に散漫な印象の映画になってしまいました。

聞くところによると、この映画の製作中に、オリバー・ヒルシュピーゲル監督
(『es[エス]』『ヒトラー〜最期の12日間〜』と製作側がかなりモメたと
か。それが影響しているのかもしれません。ヒルシュピーゲル監督の撮りたい
ように撮らせたら、もっと奥行きのある映画になったかも……。そう思うと残
念です。

《ぽちの満足度》
★★☆☆☆

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)
(SFとしても人間ドラマとしても中途半端な感じ。スリリングさはあるので、
深く考えずに観ればソコソコ楽しめるとは思いますが。)

〔鑑賞データ〕
2007年10月20日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時30分の回。


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インベージョン
オリヴァー・ヒルシュビーゲル
ダニエル・クレイグ
ジェレミー・ノーサム
ジェフリー・ライト