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インビクタス／負けざる者たち（INVICTUS）
（2009年 アメリカ）（上映時間2時間14分）
監督：クリント・イーストウッド
出演：モーガン・フリーマン、マット・デイモン、トニー・キゴロギ、パトリ
ック・モフォケン、マット・スターン、ジュリアン・ルイス・ジョーンズ、ア
ッジョア・アンドー、マルグリット・ウィートリー、レレティ・クマロ
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/invictus/
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＜ストーリー＞
1994年、アパルトヘイトに反対し27年間も投獄されていたネルソン・マンデラ
（モーガン・フリーマン）が、南アフリカの大統領に就任する。人種対立や経
済格差が続く中で、国をまとめるためには国民の和解と融和が必要だと感じた
マンデラは、翌年に自国で開催予定のラグビーワールドカップを絶好のチャン
スだと考える。さっそくマンデラは、代表チームのキャプテン、フランソワ・
ピナール（マット・デイモン）を官邸に招いて面談するのだが……。
＜レビュー＞
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迫力満点のラグビーを通して描いたマンデラの理想
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クリント・イーストウッド監督の最新作。主人公は、アパルトヘイトに反対し
て長期間投獄されたものの、解放後に南アフリカ大統領を務めたネルソン・マ
ンデラ。しかし、ただの偉人伝にはなっていません。
大統領に就任したマンデラは、人種間の対立を懸念して、国民の融和を図ろう
とします。そこで目をつけたのが、自国で開催予定のラグビーのワールドカッ
プ。南アフリカではラグビーは白人のスポーツで、アパルトヘイトの象徴とさ
れていました。そんな中でワールドカップに優勝すれば、国民が一つになって
盛り上がるはずだと考えたのです。
黒人たちは、代表チームの名前やチームカラー、エンブレムなどを変更しよう
とします。しかし、マンデラはそれを阻止。そして、主将のピナールと面談し
て、チームを強くするように依頼するのでした。
この映画には、いくつもの魅力があります。まずはスポーツ映画としての魅力。
政治の渦に巻き込まれ、チームのモチベーションも低下していたラグビーチー
ムが、マンデラのバックアップを受けて、どんどん力をつけて奇跡を起こして
いく姿が生き生きと描かれます。
それを通して描かれるのがマンデラの指導者としての高い理想。国民の融和に
向けて作戦を立てて実行していくマンデラ。ラグビーチームの試合での活躍だ
けでなく、彼らが黒人の子供たちにラグビーを教えるエピソードや、大統領の
警護担当の白人と黒人の対立と和解など、いくつものエピソードを積み重ねて、
マンデラの理想が着実に浸透していくようすを描き出します。その一方で、マ
ンデラと家族との確執なども描いて、その人物像に厚みを出しています。
マンデラと代表チームの主将ピナールとの友情のドラマもあります。あからさ
まな描写ではなく、ピナールがマンデラが収監されていた刑務所を訪れて、マ
ンデラの苦しい日々に思いをはせるシーンなどを通して、２人の心のふれあい
を抑制的に描きます。
民族間の対立を描いた前半で見られた緊張感が、後半に進むにつれて次第にほ
ぐれていくのが印象的です。
クライマックスは、ワールドカップの決勝戦。そこに至るまでの試合シーンが
意外にあっさりしていただけに、なおさらスゴミが感じられます。まさに肉弾
戦。選手と選手のぶつかり合いが、圧倒的な迫力で描かれます。観客の熱気も
ダイレクトに伝わってきます。
それと同時に、最初は実況を聞く白人に追い払われていた黒人の少年が、途中
から一緒にラジオを聞かせてもらうシーンなどで、黒人と白人の融和をごく自
然に描写しています。
実話ですから試合の結果はバレバレ。なのにまったくスクリーンから目が離せ
ませんでした。わかっていても感動してしまいます。映画の中の選手や国民と
一体化してしまいました。最近のイーストウッド作品のラストは、たいてい苦
味を含んだ余白を残したもの。今回のようなわかりやすいラストは珍しいけれ
ど、けっして薄っぺらな感じはしません。
それにしてもモーガン・フリーマン。実際のマンデラとはまったくルックスが
違うのに、本物みたいに見えるから不思議なもの。
そして何よりも、この年齢で衰えるどころかますます元気に新境地を見せてく
れたイーストウッド監督に拍手です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（スポーツ映画としても人間ドラマとしても魅力あり。明るくすがすがしい気
持ちで劇場を後にできます。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年2月7日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回
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