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ジャスミンの花開く（茉莉花開）
●『ジャスミンの花開く』
（2004年 中国）（上映時間２時間９分）
監督：ホウ・ヨン
出演：チャン・ツィイー、ジョアン・チェン、チアン・ウェン、リィウ・イエ、
ルー・イー
＊シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
ホームページ http://www.jasminewomen.jp/
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＜ストーリー＞
1930年。映画スターを夢みる18歳の少女、茉（チャン・ツィイー）は、映画会
社の孟社長に見初められ、女優としてデビューするが……。1950年。茉の娘、
莉は、労働者階級の青年、偉に一目惚れし、結婚して家を出るのだが……。198
0年。莉の娘、花は、育ててくれた祖母の茉の反対を押し切り、地方の大学に合
格した青年、杜と結婚するが……。
＜レビュー＞
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３代に渡る女の波乱の人生をチャン・ツィイーが熱演
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茉莉花（ジャスミン）から一字を取ってそれぞれの名前が付けられた、祖母、
母、娘三代に渡る波乱の人生を描いた壮絶な物語。
それを２時間ちょっとのドラマに詰め込むのだから、よほどうまく仕上げない
と、消化不良になるのでは？
そんな不安がズバリ的中してしまいました。
登場する３人の女性は、いずれも運命に翻弄されながらも力強く生きるたくま
しい女たち。でもねぇ〜、なんだかあんまり魅力的に描かれていないのですヨ。
映画会社の社長にスカウトされ女優になったものの、未婚の母になった祖母。
労働者と結婚して養女をもらったものの、夫が自殺して自分も消えた母。そし
て、祖母の反対を押し切って大学生と結婚したものの、過酷な運命に遭遇する
娘。
３人のたくましさ、力強さはそれなりに出ているものの、直線的で陰影のない
描写がどうにも気に入りません。
だいいち、３人にとって重要な恋が、どれもあんまり魅力的に思えないんだよ
ねぇ〜。
「女」を強調した性的な要素もチラチラと出たりしているのですが、中途半端
な描き方しかしていないからかえって邪魔な感じ。
日本軍の侵攻や文化大革命など、それぞれの時代的背景も登場するけれど、そ
れもあんまり効果的に使われているとは思えないなぁ〜。
この物語を小説でじっくり描いたならば、起伏に飛んだ読み応えのある物語に
なることでしょう。でも、２時間ちょっとの映画では、どうしても描写が浅く
なってしまって、なかなか感動には至りません。
ただし、これは、ボクが男だから感じることなのかもしれません。なにせ「女
の人生」のドラマなので、女の人が観ればまた違った感想になるのかも……。
それに、映像は意外性に満ちていて、鮮烈で実に美しい。舞台となる写真館な
ど、独特の情緒が感じられて印象的です。それもそのはず、監督はこれまで
『初恋のきた道』『あの子を探して』『至福のとき』などチャン・イーモウ作
品で撮影監督として活躍してきたホウ・ヨンですから。
そして、何よりも絶賛されるのが、３代の女全員を演じたチャン・ツィイーで
す。カワイらしさ、強さ、弱さなど、波乱の生涯を送った女性の様々な表情を
演じ分ける演技力が、見事です。アイドル的な域を脱して、もはや完全に本格
的女優となりました。ラストの出産シーンの迫力には圧倒されるばかり。劇中
で披露される歌声も美しくて、心を癒されます。
３代に渡る物語ゆえ仕方のないところはあるものの、深みのない描き方にはち
ょっと落胆。ただし、映像とチャン・ツィイーの演技は見応えタップリなので、
そこに注目して観てください。
チャン・ツィイーって、まさにアジアン・ビューティーですねぇ〜。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆
（観終わってもドシリとくる充実感がなかったのは期待はずれ。ただし、映像
とチャン・ツィイーの演技は観る価値アリ）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年６月17日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後１時10分の回
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