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人生万歳！（WHATEVER WORKS）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間31分）
監督・脚本：ウッディ・アレン
出演：ラリー・デビッド、エバン・レイチェル・ウッド、パトリシア・クラー
クソン、エド・ベグリー・Jr.、ヘンリー・カビル
＊恵比寿ガーデンシネマほかにて全国順次公開
ホームページ http://www.jinsei-banzai.com
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＜ストーリー＞
かつてはノーベル賞候補だった天才物理学者のボリス（ラリー・デビッド）。
だが、今ではすっかり落ちぶれ、社会からも孤立して自堕落な生活を送ってい
た。そんなある夜、南部の田舎町から家出してきた若い娘メロディ（エバン・
レイチェル・ウッド）と出会ったボリスは彼女に同情し、アパートに泊めてや
る。ところが一緒に暮らすうちに2人は惹かれあい、年の差を乗り越えて結婚。
そんな中、娘の後を追ってメロディの両親も相次いで現われるのだが……。
＜レビュー＞
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「何でもアリ」のウディ・アレン流人生讃歌
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ウッディ・アレンの監督40作目。今回は久々にニューヨークを舞台にしたラブ
コメです。
元ノーベル賞候補で、今は落ちぶれたヘンクツな天才物理学者が、ひょんなこ
とから南部から来た若い田舎娘を家に泊め、それをきっかけに少しずつ変わっ
ていくというお話。これだけ聞くと、ありがちなラブコメに思えますが、そこ
はさすがにアレン監督。全編笑えるユーモラスな人生讃歌に仕上げています。
オープニングは、いつものようにオールド・ムービーのようなレトロなタイト
ルロール。
続いて登場するのが主人公のボリスという初老の男。このキャラクターがハン
パでなく秀逸。この世のあらゆるものに悪態をつき、攻撃しまくります。妻と
も離婚し、おまけに暗闇恐怖症で、過去に自殺未遂も……。ただし、根っから
の悪人でないことも、さりげなく伝わってきます。
そんなボリスのところに転がり込んだのが、南部から来た家出娘のメロディ。
保守的な家庭に育ちミスコンに出まくるなど、ボリスとは縁遠い世界にいた彼
女が、なぜかボリスを好きになってしまいます。とてもかみ合うようには思え
ない2人の会話が、不思議な化学反応を起こし、笑いの数々を巻き起こしていき
ます。
繊細な心理描写などはほとんどない代わりに、スパイスの効いた大量のセリフ
の連射が観客を飲み込んでいきます。映画や文学、音楽などをネタにした笑い
も楽しくて、まるで良質な舞台劇を見ているような感じです。
ボリスがスクリーン越しの観客に話しかける形の筋運びや、ソツのない演出な
どさすがにアレン監督らしい軽妙さ。
そして、中盤以降にはありがちなラブコメに終わらない、暴走気味の展開が待
っています。
幸せに暮らしていたボリスとメロディ。ところがそこにやってきたのが、夫の
浮気に怒ってニューヨークにやってきたメロディの母親。こちらも強烈なキャ
ラでボリスとの白熱のバトルを繰り広げます。しかも、彼女ときたら、その後
にはとんでもない大変身を遂げてしまいます。
さらにさらに、その後にはメロディの父親まで登場。こちらもあっとビックリ
の行動へと突っ走ります。
その間に、ボリスとメロデイの恋愛模様の行方も描かれて、ついに悲劇的な出
来事が……と思ったら、ここでも驚きの出来事が勃発。
ラストはハッピーエンド。とはいえ、誰も想像しなかった形のハッピーエンド
です。そこでのボリスの「人生は何でもアリ」というセリフが、この映画をそ
のままあらわしています。
出だしは、いかにもありがちなラブコメですが、途中からは人生の幸せと不幸、
自己愛と自虐が入り乱れ、アナーキーなまでの傍若無人ぶり。これぞウディ・
アレン流の人生讃歌なのだ！！！
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（ウディ・アレンにしかできない人生讃歌。もはや細かいことは何も言います
まい。こんなに面白いのだから。）
（田中ひろあき（ぽち））
2010年12月19日（日）恵比寿ガーデンシネマにて。午後3時の回
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