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感染列島
（2008年 日本）（上映時間2時間18分）
監督：瀬々敬久
出演：妻夫木聡、檀れい、国仲涼子、田中裕二、池脇千鶴、竹山隆範、金田明
夫、光石研、キムラ緑子、嶋田久作、正名僕蔵、ダンテ・カーバー、馬渕英俚
可、小松彩夏、三浦アキフミ、夏緒、太賀、佐藤浩市、藤竜也
＊日比谷スカラ座、池袋シネマサンシャインほかにて全国公開
ホームページ http://kansen-rettou.jp/
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＜ストーリー＞
市立病院で働く救命救急医の松岡剛（妻夫木聡）のもとに、新型インフルエン
ザに感染したと思われる急患が運び込まれてくる。しかし、あらゆる治療も効
果がなく、患者は死亡。やがて医療スタッフや入院患者にも感染が発覚し、病
院はパニックに陥る。 そんな中、事態の究明とウイルスの感染拡大を防ぐため、
世界保健機関（ＷＨＯ）からメディカルオフィサーの小林栄子（檀れい）が派
遣されるのだが……。
＜レビュー＞
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ド派手なパニック映画かと思いきや、生と死を描いた人間ドラマ
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近い将来、日本でも起きることが予想されている新型ウイルスによるパンデミ
ック（感染爆発）の脅威。それを描いたタイムリーな映画です。
予告編を観ると、ＣＧ全開の大パニック・サスペンスだと勘違いする人もいそ
うですが、実際はそういうタイプの映画ではありません。
ウイルスが次々に人間の命を奪い、大混乱の中で主人公たちがその真相に迫っ
ていく構図は、まさにパニック・サスペンスそのものの。しかし、中心に描か
れるのは、とてもマジメな人間ドラマ。パニックを前にして、人々が何を考え、
どう行動したのか、その姿をリアルに映し出していきます。
特に目につくのが、死を前にした人間の様々な姿。自分を犠牲にしてまでも患
者の命を救おうとするものの、バタバタと死んでいく人の前で戸惑い混乱する
医者や看護師。大切な家族や友人、恋人を失っていく人々の悲しみや苦悩。そ
れらをリアルに描き出していきます。
脚本も手がけた瀬々敬久監督とは多少面識があって、過去の作品も何本か観て
いるのですが、その多くは人間の内面を深くえぐった人間ドラマ。当初はパニ
ック映画を撮ると聞いて違和感も覚えたのですが、なるほど、こういう映画な
ら納得です。いかにも瀬々さんらしいなぁ〜、と思ってしまいました。
もちろんサスペンス的な側面もちゃんとあって、特に中盤以降は主人公たちが
ウイルスの正体を突き止めるために南の島へ行き、緊迫の度合いが増していき
ます。
それでもクライマックスはやはり人間の生と死。同じようにウイルスと戦いな
がら、死んでいく命と助かる命。それを対比させて、ドラマに厚みを持たせて
います。
さらに、妻夫木聡と檀れいとの悲しいラブ・ストーリーも描かれて、観る者の
感動を誘います。
妻夫木聡にわざわざ車を降りて走らせるところとか、壇れいの流す血の涙とか、
リンゴの木の話とか、あのあたりも瀬々さんらしい、こだわりが感じられます
ね。
生き残った少女に語らせるラストの独白。そして、エンドタイトルにかけて挿
入される後日談も、なかなかの余韻を残します。
難をあげれば、あまりにも詰め込みすぎなところかも。少なくともカンニング
竹山のエピソードなんて不要でしょう？ 中途半端なエピソードを整理して、
焦点を絞ったほうがよかった気がします。妻夫木聡と檀れいのドラマも、初め
のほうから伏線を張ったりして、もっと前面に出したほうが感動できたと思う
のですが。
ド派手なパニック映画や、ハラハラのクライシス・ストーリーを期待すると、
裏切られそうな映画。ただし、人間ドラマはジックリ描かれているので、そち
らは見応えがあります。
それにしても、妻夫木、なぜお前は感染しない？ 不死身なのか！？（笑）
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（ドハデなエンタメ映画に走らず、人間ドラマをジックリ展開したところに好
感が持てます。詰め込みすぎの感もあるけれど、見応えはあります。）
（ぽち＝田中ひろあき）
〔鑑賞データ〕
2009年1月24日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時30分の回。
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