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監督・ばんざい！
（2007年 日本）（上映時間１時間44分）
監督・脚本・編集：北野武
出演：ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、宝田明、藤田
弓子、内田有紀、木村佳乃、松坂慶子、大杉漣、寺島進、六平直政、渡辺哲、
井手らっきょ
＊ テアトルタイムズスクエア、シネセゾン渋谷ほかにて全国公開
ホームページ http://www.office-kitano.co.jp/banzai/
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＜ストーリー＞
映画監督キタノ・タケシ（ビートたけし）は、ある時、「ギャング映画は二度
と撮らない」と宣言してしまう。そのため、人情劇、昭和30年代もの、ホラー、
ラブ・ストーリー、時代劇など、様々なジャンルの映画に手を出すがどれも挫
折。やがて、ＳＦに着手するものの、ふとした閃きでおかしな方向に進み出し
て……。
＜レビュー＞
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ギャグ満載でアナーキーに暴走する北野映画。笑うしかない！！
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前作『TAKESHIS'』で、それまでの作品を総括するような姿勢を見せた北野武監
督。次なる新たなステージは何かと思ったら、こんなオバカ映画かよ！！
（笑）
もう、とにかくバカ満載です。かつての「オレたちひょうきん族」（1981〜198
9年フジテレビ系で放送）を彷彿とさせるネタをはじめ、いろいろな要素で観客
を笑わせてくれます。
特に目を引くのが、自分自身や過去の作品をパロディにしたような自虐ネタの
数々。なにしろスタートから自虐的です。「ギャング映画は撮らない」と宣言
してしまったために、今までに撮っていない映画をつくり始めたキタノ監督。
ホームドラマ、ラブ・ストーリー、昭和30年代もの、ホラー、時代劇など、や
たらに手を出すものの全部ダメ……。
というわけで、いかにもそれらしい映画が次々に出てきます。小津安二郎風
ホームドラマ、クサ〜いラブ・ストーリー、ちっともコワくないホラー映画。
過去の映画や巨匠へのオマージュなのか、あるいは茶化しているのか。時代劇
に到っては、自分で撮った『座頭市』をパロッちゃってます。いずれにしても、
パラエティーに富んだ映画のエッセンスが詰まっています。
それらを演じるのが、内田有紀、木村佳乃、松坂慶子といった北野映画では珍
しい人たちなのも楽しいところ。
こうして、様々な映画に挑んで失敗したキタノ監督が、最後に手がけたのがＳ
Ｆ。ところが、これもまた途中でとんでもない展開になっていくのです。
一応、ストーリーを紹介すると、金のためなら何でもやるサギ師の母と娘が、
政財界の大物・東大泉に関係した男に財産目当てで接近する……という話なん
ですが、まあ筋立てなんてどうでもいいです。説明しても意味ナシ。
オバカのお手本のような映画で、全編ギャグの連発。コントの教科書に載って
いそうなネタから、シュールなネタまで、お笑い芸人ビートたけしの本領発
揮！ という感じ。
それを煽り立てるのが、親子を演じる岸本加世子＆鈴木杏のハジケ方。いっぺ
ん観てやってください。キリンを背負った母と、ヘンな鳥を抱えた娘の爆笑珍
道中を。政財界の大物を演じる江守徹のオバカぶりもスゴすぎです。
さらに、そこに井手らっきょ演じるワケのわからん博士が絡んで、どんどん暴
走していくアナーキーぶり。都合が悪くなると、自分そっくりの人形を身代わ
りにするというルール無視のキタノ監督。そのやりたい放題ぶりには、あきれ
るよりも、思わず拍手してしまいました。
"世界の北野"と評されるまでになってしまった自分の偶像を破壊しようと思っ
たのか。あるいは「自分の才能なんて誰にも理解できない」と開き直ったのか。
それとも「映画監督なんてこの程度のものだから大目に見てやってね」とウイ
ンクしたのか……。
な〜んて、この映画の意味を考えること自体が無意味です。難しいことは考え
ずに笑うほうがよさそうです。
巨匠と呼ばれても、傍若無人に突き進む北野監督。まさに「監督・ばんざ
い！」な映画なのでした。
＊ 同時上映でカンヌ60周年記念に作られたショートフィルム『素晴らしき休
日』の上映アリ。クスッと笑えて映画への愛が感じられる作品でした。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（難しいことを考えずに楽しみましょう。コメディー、特にオバカ映画好きに
はオススメです。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年6月1日（金）シネマ・ロサにて。午後6時30分の回。
〔「か」のページ〕 |
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