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借りぐらしのアリエッティ
（2010年 日本）（上映時間1時間34分）
監督：米林宏昌
声の出演：志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友
和、樹木希林
＊TOHOシネマズスカラ座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.karigurashi.jp/index.html
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＜ストーリー＞
人間の家の床下に住み、生活に必要なモノを人間からこっそり借りてきて暮ら
す"借りぐらし"の小人一家の父ポッド、母ホミリー、そして14歳の少女アリエ
ッティ。彼らの掟は「決して人間に見られてはいけない」こと。だが、ある時、
アリエッティは病気療養のためにやって来た12歳の少年・翔に姿を見られてし
まう。好奇心旺盛なアリエッティは、翔に近づこうとするのだが……。
＜レビュー＞
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人間の少年と小人の少女の交流劇。ジブリらしい美しい映像が見もの
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スタジオジブリの新作。原作は1952年にイギリスで出版されたメアリー・ノー
トンの児童文学『床下の小人たち』だそうです。『千と千尋の神隠し』や『崖
の上のポニョ』などの原画を担当した米林宏昌の初監督作品ですが、企画・脚
本を宮崎駿が担当していることもあって、いかにもジブリらしい映画になって
います。
相変わらず見事なのが映像です。細部まで精密に描かれたこだわりの描写。そ
の美しさはもはや芸術の域に達しています。ただやたらに細密なだけでなく、
絵にメリハリをつけているのが特徴です。
特に、冒頭から間もなく、小人たちの目線で描いた人間の家の中のようすが圧
巻。アイエッティ父子の「借り」のようすを、リアルで迫力たっぷりに描き出
します。
ドラマ的には、病弱で手術間近、しかも両親にも会えない孤独な少年の翔と、
小人の少女アリエッティの交流が中心です。アリエッティも自分たち家族以外
に小人は生き残っていないと思っていて、孤独を感じているのは翔と同じ。そ
うしたこともあって、２人の出会いからその後の展開がごく自然に受け入れら
れます。
彼らが最も輝くのが、大事なものを探す捜索劇。ハルさんというお手伝いの俗
っぽい行動がきっかけで、大変なことが起きて、翔とアリエッティがタッグを
組んで解決を目指します。
ジブリ作品には、強烈なメッセージ性を持った映画もありますが、この映画は
違います。むき出しで何かを訴えたり、重たいテーマを投げかけるようなこと
はありません。
それでも、アリエッティたち小人に対して、翔が「君たちは消え行く種族なん
だ」と発言したり、人間の醜さや愚かさを皮肉ったところがあったりするのは、
ジブリ作品らしいところかもしれません。
とはいえ、全体的には楽しく観られて、心が温かくなれる作品です。ラストの
展開もありきたりとはいえ、心温まるエンディングです。人間の善意やポジテ
ィブな姿勢の大切さを、それとなく伝えてくれます。
声の出演者もいずれもピタリと決まったキャスト。特に、アリエッティの父役
の三浦友和、ハルさん役の樹木希林がいい味を出しています。セシル・コルベ
ルの主題歌も印象的。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（いかにもジブリらしい世界で、ファンは必見。細部まで凝った見事な映像だ
けでも観る価値はあります。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年7月29日（木）池袋HUMAXシネマス4にて。午後6時55分の回。
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