キック・アス(KICK-ASS)


(2010年 アメリカ・イギリス)(上映時間1時間57分)
製作・脚本・監督:マシュー・ボーン
出演:アーロン・ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ニコラ
ス・ケイジ、クロエ・グレース・モレッツ、エリザベス・マクガバン、マー
ク・ストロング、デボラ・トゥウィス、ギャレット・M・ブラウン
*シネセゾン渋谷ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.kick-ass.jp/
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<ストーリー>
ニューヨークの高校生デイヴ(アーロン・ジョンソン)は、ある日、ネットで
手に入れたコスチュームを身につけ、何の特殊能力も持たないままにスーパー
ヒーロー「キック・アス」として街に出る。ところが、チンピラに重傷を負わ
され、その治療で全身に金属プレートを埋め込まれ、末端神経麻痺で痛みに鈍
感になる。その後、パトロールを再開したデイブの姿を野次馬が動画サイトに
アップ。おかげで彼は人気者になるが、そこに現れたのが、同じ稼業のビッ
グ・ダディ(ニコラス・ケイジ)とヒット・ガール(クロエ・グレース・モレ
ッツ)。まもなく、マフィアのボスが組織のトラブルをキック・アスの仕業と
誤解して彼を抹殺しようとするのだが……。

<レビュー>
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こんなアメコミもの観たことない!?愉快痛快の異色ヒーロー映画
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アメコミの映画化です。最近のアメコミものはみんなヒネリが効いているもの
の、ここまでユニークなのも珍しい。

主人公は弱っちくて女の子にもてないダメダメ高校生デイヴ。彼が特殊能力を
身につけて大活躍すれば、「スパイダーマン」のような展開ですが、そうはな
りません。デイヴときたら最後の最後まで何の能力も持たないのです。

ヒーローに憧れて、ネットで手に入れたコスチュームで街に出るものの、チン
ピラにぶちのめされて車にはねられ大けが。全身に金属板を埋め込まれ、末端
神経麻痺で痛みに鈍感になったのが、唯一の能力といえば能力(それだけじゃ
何の役にも立たないけど……)。

基本はよくあるアクションヒーロー映画。しかし、設定のユニークさに加えて
笑いどころが満載。特にダメダメの主人公による情けない笑いが全編でサクレ
ツします。ヒーローに対するシニカルな語り口も面白いところ。アメコミの名
作などもネタにしています。

その後、デイブは同じくヒーローと思しきビッグ・ダディとヒット・ガールに
出会います。はたして、彼らの正体は何なのか。やがて、明らかになる恐ろし
い復讐劇。デイブもそれに巻き込まれていきます。

中盤以降はキレのいいアクションシーンがテンコ盛り。ただし、銃を乱射し、
刃物を突き刺し、情け容赦なく人が殺されていく凄惨なシーンの連続です。そ
れでも、あまり凄惨に思えないのは、それを敢行するのがカワイイ少女だから。
紫ウィッグにマスクをつけた彼女の活躍が残虐性を中和してくれます。こんな
アクションヒロインはめったにいません。

クライマックスは、2度に渡る壮絶な決戦。あの手この手で展開される痛快な
アクションの連続。カワイイ少女の大活躍に加え、ニセヒーローのデイヴにも
きちんと見せ場が用意されています。その間には悲しい別れの場面なども織り
込まれます。

そして、最後の戦いが終わった時の爽快感ときたら……。思わず拍手!!アッ
パレです。痛快です。愉快です。

デイヴ役のアーロン・ジョンソンの『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあい
つ』とは違うダメダメぶりが見もの。ビッグ・ダディのコニライス・ケイジの
ダークな演技にも注目。しかし、なんといってもこの映画の最大の収穫は、ヒ
ット・ガール役のクロエ・グレース・モレッツ。底抜けのカワイさで、あんな
ことまでしちゃうなんて、背筋ゾクゾクもののアクショクヒロインです。

アメコミのアクションヒーローものの枠をきちんと守りつつも、マジメとフマ
ジメ、正義と悪、残虐性と可愛らしさなどのバランスを巧みにとって、迫力の
アクションを繰り出した快作。アメコミ好きでなくても楽しめます。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(愉快・痛快、爽快感あふれる異色のアメコミ映画。文句なしに楽しめます。
ただし、過激なバイオレンスシーンもあるのでご注意を。)
                              (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2010年12月22日(水)シネセゾン渋谷にて。午後4時25分の回


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