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きみに微笑む雨（好雨時節）
（2009年 韓国・中国）（上映時間1時間41分）
監督：ホ・ジノ
出演：チョン・ウソン、カオ・ユアンユアン、キム・サンホ
＊シネマスクエアとうきゅうほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.kimiame.com/
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＜ストーリー＞
韓国の建設機械メーカーの社員ドンハ（チョン・ウソン）は、出張で中国・四
川省の成都を訪れる。出迎えた支社長とともに杜甫草堂を観光するドンハの目
に、外国人を案内する女性ガイドの姿が飛び込んでくる。彼女はアメリカ留学
時代の友人メイ（カオ・ユアンユアン）だった。10年ぶりの再会で学生時代の
思い出話に花を咲かせる２人。まもなく２人はかつての恋心を再燃させる。だ
が、メイはある秘密を抱えていて……。
＜レビュー＞
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ホ・ジノが詩情豊かに描く、心にしみる大人のラブストーリー
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『八月のクリスマス』は、私にとって韓国映画に関心を持つきっかけになった
記念碑的な映画。難病とそれにまつわる悲恋を、抑制されたタッチで繊細に描
いた見事な作品でした。この映画は、その『八月のクリスマス』のホ・ジノ監
督による中国・四川省を舞台にしたラブストーリーです。
韓国人のビジネスマンのドンハが、中国・四川省の成都に短期出張で訪れます。
そこでアメリカ留学時代の友人のメイという女性と10年ぶりに再会します。思
い出話に花を咲かせる２人。実は、２人はかつてお互いに相手に好意を寄せて
いたものの、それを打ち明けられずにいたのでした。しかし、偶然の再会によ
ってかつての恋心に再び火がつきます。
ストーリーだけを聞けば、よくある話と思うかもしれません。しかし、そのよ
くある話が、ホ・ジノ監督の手にかかると、なんともほほえましくて、美しく
て、そして切なくてたまらない映画になってしまうのです。
いつもながらホ・ジノ監督の繊細な心理描写が秀逸。最初は思いがけない再会
に喜び、冗談を言い合いながら楽しく会話をする２人。しかし、しだいにお互
いの心に熱い思いが湧きあがってくるようになります。どんどん思いが募って
いくけれど、そこにはどうしても乗り越えられない壁があって、２人は悩み苦
しみます。そんな２人の心の揺れ動きをみずみずしく繊細に切り取っていきま
す。観ていて、彼らの気持ちが手に取るように伝わってきます。
韓国人のドンハと中国人のメイが、英語でコミュニケーションを交わすという
設定も効果的です。しかも、そのセリフは杜甫の詩などを使った含蓄に富んだ
ものです。
る映像も魅力です。２人が再会した杜甫の記念館やパンダ公園など、成都の名
所をうまく織り込みつつ、詩情あふれる映像を構築しています。
後半になると、どんどん切なさが募ります。メイがドンハにある秘密を告白し
ます。それが２人の関係を大きく変えます。そして、その後にもう一つ大きな
ヤマ場が……。
再会からまもなく２人が昔話に花を咲かせるシーンで、話が食い違うところが
出てきます。それがメイの秘密の伏線になっています。しかし、いくら秘密の
告白があっても劇的に煽り立てることはしません。また、このお話の背景には
四川大地震の悲劇がありますが、こちらも大げさに描かずに、復興現場でその
痕跡にさりげなくふれる程度。こんなふうに抑えたタッチに徹するのがホ・ジ
ノ監督らしいところ。それが深い余韻へとつながっています。
エンディングも素晴らしい！！！ これまでは悲しい結末も多かったホ・ジノ
作品ですが、今回はなんとまあ清々しくて、後味のよいエンディングではあり
ませんか。しかも、最後の最後にあんな心憎いシーンを用意しているなんて。
チラッと映る自転車のあの人の姿！
主演のチョン・ウソンは、同じホ・ジノ監督の『四月の雪』に主演したヨン様
よりも、こういう抑制的な映画に似合っています。その相手役のカオ・ユアン
ユアンもいいんです。キラキラした笑顔と、苦悩する表情の落差がたまりませ
ん。初めて知った女優さんですが、一度でファンになってしまいました。
ステキなラブストーリーです。キャッチコピーにあるように、自分も恋をして
みたくなります。やっぱりホ・ジノ監督のラブストーリーは絶品です。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（+1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）
（繊細な心理描写と詩情あふれる映像。切なさと清々しさに満ちたラブストー
リーのお手本のような映画。ラブストーリー好きは必見！！！）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年11月26日（木）シネマスクエアとうきゅうにて。午後2時の回
[「き」のページ] |
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