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キサラギ
（2007年 日本）（上映時間１時間48分）
監督：佐藤祐市
出演：小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之、如
月ミキ（酒井香奈子）、宍戸錠
＊渋谷シネクイント、シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開
ホームページ http://www.kisaragi-movie.com/
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＜ストーリー＞
グラビアアイドルの如月ミキが焼身自殺を遂げてから１年後。彼女のファンサ
イトに集う人たちによって１周忌のオフ会が開催され、管理人の家元（小栗
旬）、オダ・ユージ（ユースケ・サンタマリア）、スネーク（小出恵介）、安
男（塚地武雅）、いちご娘（香川照之）の５人が集まる。最初はミキの思い出
に浸る５人だったが、オダ・ユージの"彼女は殺されたんだ"という発言をきっ
かけに、話は思わぬ方向に進み出す……。
＜レビュー＞
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巧みな脚本とキャストの妙で魅せるワン・シチュエーションのドラマ
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ワン・シチュエーションで会話を中心に展開されるところが、いかにも舞台劇
を映画化したようなこの作品。しかし、実際は『ALWAYS 三丁目の夕日』の古
沢良太の脚本によるオリジナル。監督は『シムソンズ』の佐藤祐市。
自殺したアイドル（といってもＢ級）如月ミキのファン５人が１周忌に集まる。
最初はミキの思い出を語り、コレクション自慢などをしていたが、参加者の１
人が「彼女は自殺じゃない！」と主張したのをきっかに、５人とミキとの意外
な関係が明らかになる……。
場面はほぼ追悼会場の狭い一室のみ。派手な仕掛けは何もナシ。したがって、
当然ながら会話が勝負。これがとても良くできているのです。
まず秀逸なのが５人のキャラクター。いかにも堅物のオダ・ユージ、典型的な
オタクキャラの安男、変態オヤジ風のいちご娘など、ハンドルネームで呼び合
う彼らがみんな個性的で、魅力タップリ。
そして、彼らが交わす会話が、起伏に富んでいます。「え？ そうきますか」
という感じで、予想のつかない転がり方。次々に疑惑が浮かんでは消えていき、
事件の真相が二転三転していきます。全員が犯人のようであり、全員が無関係
のようでもあります。
全体のタッチはコメディー仕立て。オダ・ユージに「事件は現場で起きている
んだぞ！」なんてセリフを言わせたりして、笑える小ネタが満載です。
会話のテンポも抜群。また、合間にはさまれる回想シーンの映像も効果的です。
キャストもよく工夫されていて、特にユースケ・サンタマリアや香川照之を意
外なキャラクターに据えているのがおもしろいところ。香川照之が「いちご
娘」ってだけで笑っちゃいますよねぇ〜。
ただ笑わせたり、ハラハラさせるだけでなく、クライマックスではそれなりの
感動の場面も用意されています。まあ、そのへんはありがちで、ちょっとクサ
イ感じではありますが。
肝心の如月ミキの顔を最後まで出さずにおいて、エンドロールでヘタな歌を披
露させるのも楽しい仕掛け。そのコがいかにもＢ級アイドルっぽくてハマって
いるのですが、酒井香奈子という声優サンだそうです。
エンドロールの後の宍戸錠を登場させたシーンも愉快。最初から最後まで、巧
みな脚本とツボにはまったキャストで楽しませてくれます。
派手なＣＧやアクションなどなくても、良い脚本と役者が揃えば、これだけ楽
しい映画ができるという見本のような映画です。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（小粒だけどピリリとスパイスのきいた映画です。よく練り上げられた会話の
楽しさを満喫してください。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年6月18日（月）シネ・リーブル池袋にて。午後４時45分の回。
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