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空中庭園
（2005年 日本）（上映時間１時間54分）
監督・脚本：豊田利晃
出演：小泉今日子、鈴木杏、板尾創路、広田雅裕、國村隼、瑛太、今宿麻美、
勝地涼、ソニン、永作博美、大楠道代
＊2006年5月ＤＶＤリリース
ホームページ http://kuutyuu.com/
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＜ストーリー＞
東京郊外のニュータウンで暮らす京橋家は、「隠し事をつくらない」ことを一
家のルールにしていた。だが、娘のマナ（鈴木杏）は学校をサボって見知らぬ
男とラブホテルに行き、父の貴史（板尾創路）は不倫に走るなど、家族それぞ
れが秘密を抱えていた。ガーデニングに励む妻の絵里子（小泉今日子）もまた、
母（大楠道代）との長年の確執に悩んでいた。そんなある日、貴史の愛人ミー
ナ（ソニン）が家庭教師として現われたのをきっかけに、家族の関係がきしみ
始める…。
＜レビュー＞
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鮮烈な映像と小泉今日子の熱演で描く家族の崩壊と再生
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直木賞受賞作家・角田光代による第３回婦人公論文芸賞受賞の同名連作短編集
を映画化。主人公が自分の理想どおりにつくりあげたはずの家庭が、実は虚構
のもので、家族がそれぞれに秘密を抱え、やがて崩壊していくという物語。
「隠し事をつくらない」をルールにした主人公・絵里子の家庭。それは彼女が
計画通りにつくりあげた理想の家庭のはずだった。彼女には、母との確執があ
り、何が何でも理想的な家庭をつくりたかったのだ。
とはいえ、自分がどこで仕込まれたか、つまり両親がどこでエッチしてできち
ゃったか、な〜んてことまで語り合っちゃうのは、「隠し事をつくらない」と
かいう事件の話ではないでしょう。あまりのリアリティーのなさには、正直つ
いていけませんでした。
しかも、奇妙な登場人物がたくさん登場するんですヨ。永作博美演じる夫の不
倫相手とか、娘とラブホテルに行く男（瑛太）とか、「そんなヤツ、いねぇー
よ！」のテンコ盛。なので、最初のうちは引き気味に観ていたのですヨ〜。
ところが、途中からドンドンおもしろくなっていきました。夫の不倫相手が家
庭教師として出現したのをきっかけに、家族のほころびが少しずつ大きくなっ
ていくんです。その描写があまりにもリアル。特に絵里子が壊れていく姿の描
き方は圧巻。彼女の心の揺れ動きが手にとるように伝わってきました。
小泉今日子がいいんですよねぇ〜。後半の鬼気迫る演技は壮絶。「死ね！」の
セリフが強烈過ぎます。
真っ赤な雨に打たれて叫ぶクライマックスシーンには、背筋がゾクゾクさせら
れました。息を飲むほど迫力あるそのシーンを経て、さりげなく家族の再生を
示唆する結末にも好感が持てました。
その他のキャストも、主人公の母親役の大楠道代が、相変わらず存在感にあふ
れた演技。板尾創路、ソニンといったちょっと意外な人たちも、豊田監督の演
出によって魅力ある演技を披露しています。
そして、そして、この映画のもう１つの見どころが鮮烈な映像美。空中庭園に
ふさわしい独特の形状の団地風景をはじめ、キレまくった映像が続出です。イ
メージ的な映像が多くて、よくこんな映像を考えつくものだと感嘆。想像もで
きない映像の連続に、「クスリでもやってなけりゃ、こんな映像つくれないん
じゃないの？」とまで思ったら、あらまあ、豊田監督ったら公開前に、ホント
に覚せい剤で捕まっちゃいました。
鮮烈過ぎる映像がクスリによって生まれたものかどうかは不明ですが、おかげ
で上映館も縮小されて、思ったほどのヒットにはならず。家族の意味を問い直
す、これだけ素晴らしい映画なんだからサ、ダメだよ〜〜。そんなことしちゃ。
台無しじゃん！！
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（でも、まあそんなことには関係なく、家族というものに関心、興味を持つ方
は、ぜひご覧下さい。途中はかなり壮絶ですが、ラストはほんのり明るくなっ
ていますので。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年７月ＤＶＤにて鑑賞
[「く」のページ] |
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