恐怖

（2009年　日本）（上映時間1時間34分）
監督・脚本：高橋洋
出演：藤井美菜、中村ゆり、片平なぎさ、日下部そう、斉藤陽一郎、吉野公佳、
長宗我部陽子、郭智博、松嶋亮太、波多野桃子、高橋長英
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ　http://www.kyofu-movie.jp/
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＜ストーリー＞
幼い頃に不思議な光を目撃した、みゆきとかおりの姉妹。17年後、死にとりつ
かれたみゆき（中村ゆり）は、集団自殺に加わるが、医師である母親・悦子
（片平なぎさ）から脳に奇怪な装置を埋め込まれ、見えないはずの世界が見え
るようになる。一方、妹のかおり（藤井美菜）は、失踪したみゆきの行方を追
うのだが……。

＜レビュー＞
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理解不能なナゾだらけの世界のジャパニーズ・ホラー
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「リング」シリーズの脚本家、高橋洋が監督を務めたホラー映画。

冒頭に登場するのは、脳に電極で刺激を与えて反応を調べる実験を記録した古
いフィルム。それを凝視するのは医師の悦子と夫。まもなくスクリーンには謎
の白い光が。偶然、悦子の娘のみゆきとかおりが、その光を目撃してしまいま
す。

それから17年後、みゆきは集団自殺に加わります。ところがそれは仕掛けられ
た自殺で、彼女は病院に運ばれて脳に電極を埋め込まれます。手術を施したの
は、音信不通だった母の悦子。それによって、人間には見えないはずの世界が
見えるようになったみゆき。

みゆきは病院から失踪します。妹のかおりは、そんな姉を探そうとします。そ
して、彼女自身も恐ろしい世界へ足を踏み入れます。

古びた恐怖実験のフィルム、リアルすぎる脳手術。娘を実験台に使うマッドサ
イエンティスト、老朽化した薄暗い病院、幽体離脱、謎の不思議な光……。ホ
ラー映画としての道具立てはバッチリ。最初から最後まで、不気味で不条理な
世界が繰り広げられます。

とはいうものの、あんまりコワい感じはしませんでした。それというのも、あ
まりにも理解不能なことが多くて、「あれは何なんだ？」「どうなっているん
だ？」と思っているうちに映画が終わってしまったから。

とにかくワケのわからないことが多すぎます。みゆきたちが見た不思議な光の
正体は何なのか？　どうしてみゆきだけでなく、妹のかおりまでが不思議な体
験をするのか？　姉妹が幼い頃に体験したらしい出来事とは？　父親はなぜ死
んだ？　ラストの意外などんでん返しの意味は？

次々に疑問がわき上がります。まあ、ワケがわからないからこそコワいという
こともありますが、ここまでワケがわからないのはどうなんでしょう。

「恐怖」というシンプルなタイトルながら中身は複雑というか、抽象的という
か、観念的というか。もはやホラー映画も、ここまでヒネらないとダメなの
か！？

感心したのは、姉妹役の藤井美菜、中村ゆりの迫真の演技。これだけ理解不能
な世界に、よくぞ入り込んで演じたものです。

しかし、それよりもっとスゴいのは、母親役の片平なぎさ。2時間ドラマで犯人
探しをする裏で、こんな恐怖の人体実験をやっていたとは（笑）。ついには自
分まであんなことに……。コワすぎます。これからは「２時間ドラマの女王」
ではなく、「ホラー映画の女王」と呼びましょう。

≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆

≪ぽちのオススメ度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
（不気味で怪しい世界が展開するホラー映画。ただし、ナゾが多すぎてついて
いくのでやっとでした。）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（田中ひろあき（ぽち））

〔鑑賞データ〕
2010年7月25日（日）テアトル新宿にて。午後4時30分の回

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