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ラースと、その彼女（LARS AND THE REAL GIRL）
（2007年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督：クレイグ・ギレスピー
出演：ライアン・ゴズリング、エミリー・モーティマー、ポール・シュナイ
ダー、ケリ・ガーナー、パトリシア・クラークソン
＊シネクイント、シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開
ホームページ http://lars-movie.com/
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＜ストーリー＞
雪に覆われた小さな田舎町。優しくて純粋なラース（ライアン・ゴズリング）
は町の人気者だが、シャイで女の子とまともに話すこともできない。そんな
ラースを心配していた兄夫婦のもとに、ある日、ラースが「彼女を紹介する」
とやってくる。しかし彼が連れてきたのは等身大のリアルドールだった……。
＜レビュー＞
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リアルドールに恋した青年と周囲の人々の温かな交流
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誰からも愛されているけれど、内気で人づき合いの苦手な青年ラース。それを
心配する兄夫婦。そこに突然、「彼女」を連れてきたラース。ところが、それ
はなんと等身大のリアルドール。まるでホンモノの女性のように接するラース
の態度に、兄夫婦や町の人たちは驚き、困惑するばかり。兄夫婦は医師に相談
し、ラースの妄想に話を合わせることに。街の人々も協力して、みんなで人形
を生身の女性として扱うけれど……。
第80回アカデミー脚本賞にノミネートされた映画です。なるほど設定も面白い
し、細かなところまでよく書けた脚本です。
といっても、最初は少し違和感もありました。ラースがリアルドールを彼女だ
と思い込む姿が、なんだか唐突に思えてしまったのです。いくらカップルでい
ないと不自然に思われるアメリカでも、そこまで切羽詰った心理になるのだろ
うか？
しかし、その後の医師との会話などから、彼がとても大きなトラウマを負って
いることがわかって納得しました。両親との関係など、複雑な背景が彼の過去
には存在したのです。
物語のポイントになるのは、兄夫婦はもちろん、町の人たちもラースに合わせ
てあげるところ。普通なら嘲笑したり、同情したりするところですが、彼らは
とまどいながらも、一生懸命にラースの世界に協調してあげます。それだけ
ラースのことが、みんな大好きだということがよくわかります。
そういう人たちに囲まれて、リアルドールと過ごすうちに、少しずつ彼の心に
変化が起きていきます。職場の同僚女性の存在などもあって、微妙に変わって
いく彼の心をうまく描写していきます。
よくよく考えると、悲しくて切ないところもあるお話なのですが、暗い感じは
しません。全体はあくまでもコメディータッチ。リアルドールと並んで談笑し
たり、食事したりするラースを見ているだけで、思わず笑ってしまいます。
そして、全体を包むのは、温かな雰囲気。見ているうちに心がポカポカしてき
ます。
ラストに用意されているのは、ごく自然な結末。ラースの成長をさりげなく見
せてくれる、よく考えられた仕掛けです。
人とふれあうことで成長していく物語はたくさんありますが、人形とふれあう
ことで成長していくというのがユニーク。しかも、それを通して、人と人との
つながりの大切さや、大人になるとはどういうことかなど、あれこれと考えさ
せてもくれます。
ラース役は『きみに読む物語』のライアン・ゴズリング。兄夫婦を演じるエミ
リー・モーティマーとポール・シュナイダー、そして医師役のパトリシア・ク
ラークソンも、なかなか味のある演技。
現実にはありえないファンタジーではあるけれど、けっしてウソっぽくないし、
自然な形で心に染み入ってくるステキなお話です。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（ユニークでポカポカと温かになれるハートフル・コメディ。地味ですが、と
ってもあと味の良い映画です。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2008年12月20日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後1時35分の回
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