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ラストキング・オブ・スコットランド
（THE LAST KING OF SCOTLAND）
（2006年 アメリカ・イギリス）（上映時間２時間５分）
監督：ケヴィン・マクドナルド
出演：フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ケリー・ワシント
ン、ジリアン・アンダーソン、サイモン・マクバーニー
＊ 有楽町スバル座ほかにて全国公開
ホームページ http://movies.foxjapan.com/lastking/
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＜ストーリー＞
スコットランドの医学校を卒業したニコラス・ギャリガン（ジェームズ・マカ
ヴォイ）は、ウガンダの診療所へとやってくる。ちょうど軍事クーデターによ
ってイディ・アミン（フォレスト・ウィテカー）が新大統領となった直後のこ
とで、ギャリガンはアミンの演説に惹きつけられる。そして、偶然にもケガを
したアミンを救ったギャリガンは、彼に気に入られて主治医に抜擢され、やが
て政治顧問的な役割を果たすようになるのだが……。
＜レビュー＞
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ハラハラのサスペンスの向こう側に浮かび上がる独裁者の恐怖
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かつてアフリカのウガンダで、大量虐殺を行った悪名高いアミン大統領。あま
りの恐ろしさに「人肉を食った！」などというウワサも出る、とんでもない人
物だったのですが、その実像に迫ったドキュメンタリータッチの映画……。
かと思ったら、実際は違うんですよ。けっして真正面からアミン大統領を描い
ているわけではないのです。物語の骨組みは、彼の主治医から政治顧問的な役
割まで果たすようになった、スコットランド人の青年医師を主人公にしたサス
ペンス。アミンは、あくまでも彼の目から見た姿として描かれます。
医学校を出たばかりのギャリガン青年が、ウガンダの村に医者として赴任。た
またまアミン大統領のケガを治療したことから気に入られて、主治医になり、
厚い信頼を寄せられる……。
というのが前半のお話。若々しく、理想に燃える医師ギャリガンが、人民の味
方として国民の期待を一身に集める大統領に魅了される姿が、ごく自然に描か
れます。
ところが、権力に就いたアミンは、反対勢力に対する恐怖心などもあり、徐々
に暴走を始めます。そして、狂気としか思えない行動を取るようになり、つい
にはギャリガンの身にも危険が迫るのです。
後半になって、どんどん暴走するアミンと、それに気づいて逃れようとするも
のの逃れられず、ついには「あわや！」という目にあうギャリガン……という
展開はかなりスリリングで、手に汗握る展開です。
特にクライマックスのハイジャック事件がらみの空港でのシーンはケレン味た
っぷりの展開。アミンだの、ウガンダだのに興味のない人も、素直に楽しめて
しまいます。
そうです！ この映画はエンターティメント性たっぷりのサスペンス映画とし
てつくられているのです。実話をベースにしていても、フィクションもかなり
ありそうです。逆にそれだけ思い切った創作をすることによって、エンターテ
ィメントとしてのおもしろさが倍増しています。
おまけに、正面きって描いているわけではないものの、独裁者アミンの怖さは
十分に伝わってきます。当初は英雄視され、貧しい生まれであることも手伝っ
て人間味あふれる人物に見えた彼が、権力を手にして狂気へと走っていく姿に
は慄然とさせられました。子供のような無邪気さは、一度悪へ走ると歯止めが
効かなくなるのです。特に、妻に対する仕打ちは残酷の一語。正視できない映
像です。
彼が狂気に走った明確な理由が語られているわけではありません。というより
も、それは誰にもわからないのかもしれませんねぇ〜。ああ、恐ろしい……。
ここまでアミンの狂気が伝わってくるのは、やはりこの映画でアカデミー主演
男優賞を獲得したフォレスト・ウィテカーの迫真の演技のおかげでしょう。無
邪気さと狂気が同居するその表情がなんとも不気味です。
青年医師役を演じるジェームズ・マカヴォイも、前半の若々しい青年ぶり、後
半の憔悴していく姿ともになかなかの熱演。『ナルニア国物語／第１章：ライ
オンと魔女』に出演していたそうです。
そして、先輩医師の妻役で『Ｘ−ファイル』のジリアン・アンダーソンの顔も
……。おなつかしや〜〜。
実在の独裁者を巧みに利用してつくりあげた一級品のサスペンス。あくまでも
エンターティメント映画として楽しみましょう。すると、その向こう側に独裁
者の残虐性や恐怖がくっきりと浮かび上がってくるはずです。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（アミン大統領やウガンダのことを知らなくても十分に楽しめます。ハラハラ
ドキドキのサスペンスが独裁者の恐怖を浮かび上がらせます。フォレスト・ウ
ィテカーの演技も見応え十分。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年3月10日（土）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４。午後4時20分の回
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