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檸檬のころ
（2007年 日本）（上映時間１時間55分）
監督・脚本：岩田ユキ
出演：榮倉奈々、谷村美月、柄本佑、石田法嗣、林直次郎、浜崎貴司、石井正
則、織本順吉、大地康雄
＊ 渋谷シネ・アミューズ、池袋シネマ・ロサほかにて公開
ホームページ http://www.lemon-no-koro.com/
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＜ストーリー＞
吹奏楽部の指揮者を務める高校三年生の秋元加代子（榮倉奈々）は、卒業後は
東京の大学への進学を希望している。そんな加代子に野球部の西巧（石田法
嗣）は、中学から想いを寄せているが、加代子は同じ野球部のエース佐々木富
蔵（柄本佑）に惹かれていく。一方、音楽ライターを夢見る白田恵（谷村美
月）は、軽音楽部の辻本一也（林直次郎）と音楽話で盛り上がり、文化祭へ向
けて詞を提供することになるのだが……。
＜レビュー＞
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甘酸っぱさにあふれた高校生たちの初恋模様。感傷に浸れます
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青春映画の大家（自称）の筆者から見て、これはかなり掘り出し物の青春映画
でした。高校三年生たちの胸キュンものの初恋話を描いた作品ですが、『檸檬
のころ』というタイトル通りに甘酢っぱい思いが胸に湧き上がってきます。
豊島ミホの短編集の映画化。描かれるのは田舎の高校に通う２人の女のコ。１
人は吹奏楽部の指揮者の加代子。もう１人は音楽ライター志望の恵。
加代子は東京の大学を目指す優等生。野球部の西は彼女にずっと好意を持って
いたが、加代子はエースの佐々木に惹かれ、彼をふる。一方、恵は軽音楽部で
バンドをやっている辻本と意気投合し、彼に恋心を抱く。
この２つの淡い恋はどちらも順調には進みません。そこには進学、就職、別の
彼女の存在など、いろいろな壁が立ちはだかります。そんな中で、泣いたり、
笑ったり、怒ったりする加代子と恵の心理が、みずみずしく切り取られていま
す。それもセリフだけでなく、しぐさとか表情とか、微妙な間とかを使って、
実に繊細に描かれるんですよねぇ〜。
恋だけではありません。友達が音楽雑誌の投稿に採用された時の恵の気持ちが、
何とも切ないんです。音楽ライター志望なのに、先を越された悔しさに身もだ
えしつつも、やっぱり友達だから……というあたりの微妙な気持ちがね。
加代子を演じる榮倉奈々もいいけれど、恵を演じる谷村美月のキラキラした輝
きに、グッときてしまいました。谷村美月ってホントにいいもの持ってますね
ぇ〜。
加代子と恵以外の人物もよく描写されています。特に佳代子に想いを寄せなが
らも、親友に取られてしまう西の気持ちがたまりません。
とりたてて劇的な展開はありません。逆に言えば、どんな人の高校時代にも起
こったようなことが描かれているワケ。おかげで誰もが「あの頃」を思い出し
て、感傷に浸れるのです。
でもって、クライマックスは文化祭。「いかにも」という感じもしますが、そ
こはやはり高校生活最後の大イベント。その盛り上がりを生かして、ドラマに
メリハリをつけています。ここでも、谷村美月の堰を切ったような演技が光り
ます。
欠点といえば、男のコたちがボソボソしゃべる声が、聞き取りにくかったこと。
それに辻本を演じる「平川地一丁目」の林直次郎の演技がイマイチ。
監督は1972年生まれの岩田ユキ。本作で監督デビュー。みずみずしい描写力に
素質を感じさせます。
まあ、「あそこまで純粋なコがはたしているのか？？？」なんて疑問もあるけ
ど、甘酸っぱい感傷に浸れるのは間違いなし。かつての高校生たちにとっては、
「自分たちにもあんなことがあったよなぁ〜」と、自分の高校生活とオーバー
ラップして、たまらなくなることでしょう。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（初恋の甘酸っぱさを巧みにすくいとった作品。感傷に浸りたい方にはぜひオ
ススメ。谷村美月の存在感も必見です。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年4月1日（日）池袋シネマ・ロサにて。午後5時40分の回
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