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レオニー（LEONIE）
（2010年 日本・アメリカ）（上映時間2時間12分）
監督・製作・脚本：松井久子
出演：エミリー・モーティマー、中村獅童、原田美枝子、竹下景子、クリステ
ィナ・ヘンドリックス キャサリン、メアリー・ケイ・プレイス、柏原崇、山野
海、大地康雄、勅使河原三郎、中村雅俊、吉行和子、山中聡
＊角川シネマ新宿ほかにて全国公開
ホームページ http://www.leoniethemovie.com/
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＜ストーリー＞
1901年、名門女子大を卒業したレオニー・ギルモア（エミリー・モーティ
マー）は、ニューヨークで、日本から来た詩人のヨネ・ノグチ（中村獅童）の
編集者となる。2人は恋に落ちるが、レオニーが妊娠するとヨネは日本に帰国し
てしまう。やがて男の子を出産したレオニーは、母と暮らし子供を育てるが、
数年後にヨネからの熱心な誘いを受けて日本へ向かう……。
＜レビュー＞
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逆境をはねのけるたくましい女性の伝記映画
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世界的な彫刻家イサム・ノグチの母親レオニーを描いた伝記映画。
レオニーは、ニューヨークで日本から来た詩人のヨネ・ノグチの編集者となり、
やがて２人は恋に落ちます。レオニーは妊娠するものの、ヨネはそれを喜ばず
に日本に帰国。元気な男の子を出産し育てるレオニーは、数年後にヨネの誘い
で日本に渡ります。しかし……。
伝記映画として特に目新しいところはありません。主人公レオニーの大学時代
から死までを描いているため駆け足のところが多くて、心理描写などに物足り
ないところもあります。津田梅子（津田塾の創始者）や小泉八雲の妻セツとの
関係など、エピソードがテンコ盛りで消化不良な感じもします。
また、前半にひんぱんに後年のイサム・ノグチの創作風景が挿入されるのです
が、どういう意図があるのかよくわかりません。単なるシーン転換のアクセン
トか？ さらに、前半のみ時制をばらしているのも、それほど効果的とは思え
ない構成です。
それでも、観ているうちに圧倒されてしまいました。なにしろ、主人公のレオ
ニーという女性がたくましすぎるのです。
いくら子どもの父親がいるからといっても、外国人が奇異の目で見られる時代
に、勇気を持って日本にやってきて、相手に正妻がいるとわかると決然と別れ
を告げ、見知らぬ日本で子どもの才能を信じて生きていきます。後半で、子ど
もの将来を考えて、離れ離れになるのもかまわずアメリカに送り出す強さも印
象的。その自立心と常に前進し続けるパワーには感服するばかりです。
この時代に、これだけたくましい女性はめったにいますまい。少なくとも当時
の日本人にはねぇ〜。
ディカプリオ主演の『シャッターアイランド』にも出演していたエミリー・
モーティマーの力強い演技が、レオニーのたくましさをいっそう際立たせてい
ます。
アメリカロケも敢行した大自然などの美しい映像も魅力的（撮影は『エディッ
ト・ピアフ〜愛の讃歌〜』の永田鉄男）。
ラスト近くで、レオニーの死を仰々しく煽り立てずに抑制的に描き、しみじみ
した余韻が残る結末に仕上げたところにも好感が持てます。
監督は、『ユキエ』『折り梅』と逆境をはねのける女性を描き続ける松井久子。
今回も困難にめげずに生きる女性を、監督自身の共感を込めて力強く描いてい
るだけに、多くの女性が共感することでしょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（主人公のたくましさに圧倒される伝記映画。特に女性は共感し勇気付けられ
そうです。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年11月20日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後1時25分の回
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