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［リミット］（BURIED）
（2009年 スペイン）（上映時間1時間35分）
監督：ロドリゴ・コルテス
出演：ライアン・レイノルズ
＊シネセゾン渋谷ほかにて公開
ホームページ http://limit.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
イラクで働くアメリカ人トラック運転手のポール・コンロイ（ライアン・レイ
ノルズ）は、突然何者かに襲撃され、気づくと地中に埋められた棺型の箱の中
にいた。手元には、ライターと自分のものではない携帯電話。自分がどこにい
るかもわからない中で、電池切れ間近の携帯電話で懸命に救助を求めようとす
るポールだったが…。
＜レビュー＞
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地中の箱の中の男。アイデアの秀逸さが光るスリラー
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スペイン映画ですが、全編英語で主人公もアメリカ人。運転手であるその主人
公が、地中の箱に閉じ込められ、そこから必死で脱出しようとするようすを描
いたスリラー映画です。
オープニングはしばらく真っ暗闇で無音状態。やがて人が動く音がして、ライ
ターの明かりがつくと、そこは地中に埋められた棺おけ風の箱の中。舞台とな
るのは、全編この箱の中というワン・シチュエーション。登場人物は、そこに
閉じ込められた主人公のポールのみというユニークな設定です。
狭い箱の中で、ほとんど身動きもできないポール。まもなく発見したのが誰か
の携帯電話。それを使って外部と連絡をとろうとします。
しかし、家族は留守で携帯もつながらず。ＦＢＩや勤務する会社に電話しても
らちが明きません。やがて国防総省に電話して、ようやく少しだけ希望の光が
見えるものの、その一方で犯人らしき男から電話がかかり、高額の身代金を要
求されます。
「低予算映画はこうやって撮れ！」という見本のような作品。アイデアの秀逸
さが光ります。
閉ざされた空間で、焦り、苦悩し、絶望する主人公の心理が手に取るように伝
わってくる描写も見事。まるで自分も棺の中に閉じ込められたような息苦しさ
を感じてしまいました。箱の中だけの演技という難役をこなしたライアン・レ
イノルズ（『ウルヴァリン／X-MEN ZERO』）の迫真の演技も見もの、
携帯のバッテリー、身代金要求の設定時間、箱の中の酸素など、何重ものタイ
ムリミットが迫る中で、後半になるにつれて緊迫感はさらに高まります。中心
となるのは、主人公と外部との携帯電話でのやり取りですが、後半にはヘビな
どの新たなアイテムなども登場させて、様々な出来事を起こしていきます。
背景としてイラクの現実を取り入れたのも効果的。民間会社の運転手とはいえ、
イラクで仕事をしていた主人公が、アメリカ人を敵視するイラク人によって拉
致されるというのは現実に起こりうる事件。
しかも、事件がマスコミに露見することを恐れたり、「テロリストとは交渉し
ない」と言って人質を見殺しにするアメリカ政府や、ひたすら責任逃れに走る
民間企業などを批判的に描いています。
ラストは衝撃的な結末。ハリウッド映画のような安易なハッピーエンドとは無
縁です。
細かな突っ込みどころはありますが、観ている間は気になりません。アイデア
の面白さと冴えた演出で、最後まで引っ張られる面白い映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（自分も地中の棺に閉じ込められたようなリアルな緊迫感が味わえるスリラー
映画。閉所恐怖症の方はご注意ください。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年11月14日（日）池袋HUMAXシネマズにて。午後3時10分の回
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