|
ラッキーナンバー７（LUCKY NUMBER SLEVIN）
（2006年 アメリカ）（上映時間１時間51分）
監督：ポール・マクギガン
出演：ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、ルーシー・リュー、
モーガン・フリーマン、ベン・キングズレー、スタンリー・トゥッチ
＊ 丸の内プラゼール、渋谷シネパレスほかにて全国公開
ホームページ http://www.lucky-movie.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
不運続きの青年スレヴン（ジョシュ・ハートネット）は、友人ニックを頼って
ニューヨークへとやって来る。しかしニックは不在で、隣に住む女性リンジー
（ルーシー・リュー）と行方を捜し始める。そんな中、スレヴンは、彼をニッ
クだと思い込んだギャングのボス（モーガン・フリーマン）から多額の借金の
返済を迫られ、それを帳消しにする条件として、敵対するギャングの親玉"ラビ
"（ベン・キングズレー）の息子を殺害するよう命じられるのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ばら撒いた断片をつなぎ合わせる手腕の見事さ。最後にはドンデン返しも
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
邦題は『ラッキーナンバー７』。しかし、原題は「LUCKY NUMBER SLEVIN」。
え？ セブンじゃなくてスレヴン？ 実はこれ、主人公の名前で、事件のキー
ワードになる言葉。だというのに、なんだこの安直な邦題は？？ まあ「７」
も関係することはするのだが……。
しかし、映画の中身はかなりのもの。巧みに組み立てられた犯罪映画で「うー
む」と唸らされてしまいました。
オープニングからいきなりの殺人シーンの連続。続いてブルース・ウィリスが
登場して、空港ロビーで20年前の競馬の八百長事件を語り始める。そしてまた
人殺し……。
すると、今度はジュシュ・ハートネット演じる不運続きの青年が、友人と間違
われてギャングのボスに脅されて殺しを命じられる。さらに、敵対する組織の
ボスにも拉致されて……。
というわけで、最初のうちはワケがわかりません。復讐劇らしいことは示唆さ
れるものの、それ以上はサッパリ。「いったい何がどうなってるの？」という
感じで、観客は否が応でもスクリーンを注視せざるを得ません。
そうやって頭が混乱しつつ眺めているうちに、グイグイと引き込まれてしまい
ます。スリリングかつスタイリッシュな映像と、よく練られた脚本が見事です。
「００７」など映画ネタを使ったセリフも気が利いていて、適度なユーモアが
散りばめられています。
名優たちの演技も見応えがあります。何といっても、敵対する組織のボスに
モーガン・フリーマンとベン・キングズレーという両巨頭を持ってきたのが大
正解。悪党としてのスゴミはどちらも互角の勝負。「悪役は演技力がなくち
ゃ」という法則をキッチリ証明してくれます。
そこにクセモノぶり全開のブルース・ウィリスの殺し屋が絡んできて、どうや
ら背景には過去の大きな事件があり、ただ人間違いされただけに思えたジョシ
ュ・ハートネット演じるアンラッキー青年にも、何かヒミツがあるらしいこと
がわかってきます。
やがてスタートしてから１時間半ほどして、ついにすべてが明らかになります。
詳細は伏せますが、要するに周到に用意されたスサマジイ犯罪計画なのです。
前半はその断片をばら撒いておいて、後半にそれをつなぎ合わせる。途中から
ある程度予想がついてしまうものの巧みな手腕に「な〜るほどね！」と納得。
犯罪映画としてのおもしろさは格別です。
ただし、容赦ない犯罪なので、後味はとても悪い。エグいシーンがテンコ盛な
のは仕方ないにしても、ブルース・ウィリスの非情さには、胸がムカムカして
きました。こんな終わり方でいいのか？？？
と胸にもやもやを抱えていたら、最後の最後でもうひとヒネリ。なんと、なん
と、そうだったんですか！！
そこに待っていたのは意外な結末。一転して後味ホンワカです。それも、過去
のほんのワンシーンを加えるだけで、納得させてしてしまうから見事なもの。
ルーシー・リューの笑顔がこんなに素敵に見えるなんて……。
あざといとか、甘い結末なんて言うなかれ。あれがなけりゃ、鬱々気分で映画
館を後にしたはず。これぞエンターティメント！！
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（最後のドンデン返しをはじめ実に良く考えられた映画。結末で一転した後味
で★半分プラス。犯罪映画の苦手な方以外は観ても損はないのでは？）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年1月13日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時15分の回
[「ら」のページ] |