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マリー・アントワネット（MARIE ANTOINETTE）
（2006年 アメリカ）（上映時間２時間３分）
監督・脚本：ソフィア・コッポラ
出演：キルステン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、リップ・トーン、
ジュディ・デイヴィス、アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル
＊日劇ＰＬＥＸ、渋東シネタワーほかにて全国公開
ホームページ http://www.ma-movie.jp/
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＜ストーリー＞
14歳のオーストリア皇女マリー・アントワネット（キルステン・ダンスト）は、
フランスとの同盟のためフランス王太子（ジェイソン・シュワルツマン）のも
とへと嫁ぐ。ヴェルサイユ宮殿での結婚生活に胸をふくらませるマリーだった
が、大勢に監視され、悪意に満ちた陰口の的になる。おまけに、15歳の夫はま
るで彼女に興味を示さず、世継ぎもできない。そんな孤独や不安を紛らわすた
め、おしゃれや遊びに夢中になるマリーだったが……。
＜レビュー＞
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無邪気なお嬢様の孤独と苦悩をポッブに描いた歴史ドラマ
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名高い王妃マリー・アントワネットを主人公に描く歴史ドラマ。
とはいっても、監督が『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランス
レーション』のソフィア・コッポラですから、普通の歴史ドラマになんてする
はずがありません。
描かれるのは無邪気なお嬢様の等身大のドラマ。浪費家のバカ王妃でも、悲劇
のヒロインでもありません。時代背景を無視すれば、そのまま現代のセレブ娘
のドラマになりそうです。
フランスとの同盟のために弱冠14歳でフランス王家に嫁いだオーストリア皇女
マリー・アントワネット。普通の女の子のように、夢いっぱいの結婚生活を期
待するものの、その実態はとんでもないもの。朝から晩まで大勢のとりまきに
監視され、15歳の夫ルイはまるで彼女に興味を示さない……。
てことで、最初からマリーの顔のアップをたくさん見せ、彼女の目線の映像も
効果的に挿入して、その心情をリアルに伝えています。おかげで、マリーの戸
惑い、悩み、苦しみなどが実によく伝わってくるのです。後半でスウェーデン
の軍人に切ない恋心を抱くあたりの描写もなかなかのもの。
とはいえ、深刻な映画ではありません。孤独や不安を紛らわすために、マリー
がパーティーやオペラ、おしゃれなどに夢中になるシーンでは、嬉々とする彼
女の姿を生き生きと描きます。80年頃のザ・キュアーやニューオーダーなどを
中心としたロックに乗せて、軽快かつポップに描かれた映像には、観ているこ
ちらもワクワクさせられます。
パーティー後に友達と一緒に朝日を見るシーンなんて、誰でも若い頃に一度は
経験することでは？ ホントに、徹底して、等身大の少女としてマリーを描く
のです。
ゴージャスで凝りに凝った衣装、髪型、美術、小道具なども、観ているだけで
楽しくなってきます。
後半はなかなかエッチしてくれない夫クンと、ようやくそういうことになり、
子供ももうけたものの、それでも平穏とは行かない彼女の姿が描かれます。生
活が困窮した国民の非難が集中するのですが、そのあたりの経緯もウダウダと
描かず、軽快かつポップに展開させます。
いくらでも感動的に描けるはずのラストも、サラッと終わらせ、けっしてお涙
頂戴にはしません。ドラマ的な起伏はほとんどないので、「なんか中途半端
ね」という観客の皆さんも多いことでしょう。
しかし、コッポラ監督が描きたかったのは、こういうマリーだったのです。こ
れがコッポラ流。その意図は見事に具現化されていると言ってよいでしょう。
まあ、もちろん好き嫌いは分かれるでしょうけどネ。
役者ではマリー役のキルステン・ダンストの無邪気な笑顔が素晴らしい！！！
キャリアは豊富だけど、まだ26歳。今後も楽しみです。
その夫ルイ16世役のジェイソン・シュワルツマンのバカっぽさもたまらんです
なぁ〜。良い人なんだけど、典型的なボンボンなのね。その割に最後は頑張っ
ちゃったりして。ロック・シンガーとして一世を風靡したマリアンヌ・フェイ
スフルがマリーの母役で登場しているのもコッポラ監督らしいキャスティング。
新しいマリー・アントワネット像を突きつけたユニークな映画。重厚な歴史ド
ラマや涙ウルウルの感動ドラマを期待して観に行くと、こっぴどくやられるこ
と間違いナシ。それを覚悟して観に行きましょう！
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（ユニークな視点と心理描写の巧みさが光る映画。ドラマ的な盛り上がりはな
いものの、けっこう楽しめます）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年1月20日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時45分の回
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