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花の生涯〜梅蘭芳（メイ ラン ファン）〜
（MEI LANFANG）
（2008年 中国）（上映時間2時間27分）
監督：チェン・カイコー
出演：レオン・ライ、チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チェン・ホン、ユ
イ・シャオチュン、安藤政信、六平直政
＊新宿ピカデリーにて公開。順次全国公開。
ホームページ http://meilanfang.kadokawa-ent.jp/
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＜ストーリー＞
京劇の名門の家に生まれた梅蘭芳（レオン・ライ）は、10代で女形のスターと
なる。その後、邱如白（スン・ホンレイ）と出会い、京劇の世界にも革命が必
要だという主張に感銘を受け、義兄弟の契りを交わす。やがて家庭を持って、
ますます演技に磨きがかかった梅蘭芳だが、男形女優、孟小冬（チャン・ツィ
イー）と恋に落ちてしまい……。
＜レビュー＞
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激動の時代に生きた実在の名優をチェン・カイコー監督が力強く描く
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1993年に『さらば、わが愛／覇王別姫』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受
賞したチェン・カイコー監督が、久々に京劇を題材にしたのがこの映画。前作
はフィクションでしたが、今回は実在の人気スターの生涯を描いた作品です。
主人公は人気女形の梅蘭芳。オープニングは、幼い彼が叔父の手紙を読むシー
ン。京劇の世界に身を置く厳しさを説き、そこから離れるように諭す内容。し
かし、その後半部分は明かされません。のちに彼の人生とリンクさせる形で明
らかになる巧みな構成。
前半に描かれるのは、まだ10代の梅蘭芳が人気スターとなり、師匠を凌駕する
までのお話。役人の邱如白と出会い、彼に大きな影響を受けて京劇の改革の必
要性を感じて、師匠と対決するようになります。
中盤は、押しも押されもしない大スターとなった梅蘭芳が、妻がいるにも関わ
らず、人気男役の女性と恋に落ちるお話。
そして、後半は日本軍の侵攻によって、梅蘭芳が大きく運命を狂わされる姿が
描かれます。
チェン・カイコー監督の作品といえば、映像の美しさで知られますが、今回も
京劇の舞台を中心に鮮やかな映像が続きます。
そして、同時に目を引くのが登場人物の心理描写。役人の地位を捨てて、梅蘭
芳のブレーン的な存在となった邱如白の複雑な心理、夫が恋に落ちた孟小冬に
対する梅蘭芳の妻の嫉妬心などが見事に描かれています。
京劇の大スターの人生を描いた大河ドラマだけに、教科書に載りそうな偉人伝
になるかと思いきや、様々な悩みや苦しみを抱えた人間ドラマとして描かれて
いるのが魅力的。
前半で梅蘭芳と師匠との対決シーンを盛り上げたり、中盤の愛人ＶＳ妻との戦
いをわかりやすく見せたり、さらに梅蘭芳をめぐる不可解な狙撃事件まで登場
させて、ドラマにメリハリをつけています。おかげで、2時間半近い映画なのに、
飽きずに観られました。
欲を言えば、主人公の芸の背景にあった孤独のようなものが、もう少し明確に
出てもよかったかもしれません。
梅蘭芳の10代を演じたユィ・シャオチュンが、おそろしく美形の若者で、女形
がピッタリでした。大人になった梅蘭芳を演じたレオン・ライ（『天使の涙』
『インファナル・アフェアIII』）も、いかにも往年の二枚目スターという感じ
の風貌が印象的。さらに、邱如白役のスン・ホンレイ、梅蘭芳の妻役のチェ
ン・ホンなども存在感のある演技でした。
『さらば、わが愛／覇王別姫』を越えたとまでは言いませんが、激動の時代を
生きた名優の生涯を描いたドラマとして、見応えがある映画。ハリウッドで
『キリング・ミー・ソフトリー』という、つまらないサスペンスを監督したり
して、どうもパッとしない時期が続いたチェン・カイコー監督ですが、今回は
久々に満足できる作品でした。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（チェン・カイコー監督のよさが発揮された映画。京劇に興味のない方もそれ
なりに楽しめるのでは？）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年3月8日（日）新宿ピカデリーにて。午後1時の回
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