ミックマック(MICMACS A TIRE-LARIGOT)


(2009年 フランス)(上映時間1時間44分)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ、ニコラ・マリエ、ジャン=ピ
エール・マリエール、ヨランド・モロー、ジュリー・フェリエ、オマール・
シー、ドミニク・ピノン、ミシェル・クレマド、マリー=ジュリー・ボー
*恵比寿ガーデンシネマほかにて公開
ホームページ http://www.micmacs.jp/
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<ストーリー>
幼い頃に、父親を地雷で亡くしたバジル(ダニー・ブーン)は、ある日、発砲
事件に巻き込まれ、頭に銃弾を受けてしまう。一命はとりとめたものの、銃弾
は頭に埋まったままに。おまけに、家も仕事も失った彼は、廃品回収をしなが
ら共同生活を送る仲間たちと出会う。やがて、父親を殺した地雷の製造会社と、
自分の頭に残る銃弾の製造会社を偶然発見した彼は、仲間たちの助けを借りて
復讐を決意するのだが……。

<レビュー>
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ジュネ監督らしい独特の世界で描くユーモラスな反戦映画
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『アメリ』『ロング・エンゲージメント』のジャン=ピエール・ジュネ監督の
作品。

父親が地雷で死に、自分は銃弾で死にかけて(しかも銃弾は頭に残ったまま)、
家も仕事もなくした主人公が、仲間たちとともに父親を殺した地雷を製造した
会社と、自分の頭に残る銃弾の製造会社を懲らしめるというお話。反戦平和の
メッセージを込めた映画です。

ただし、それを真正面から描くのではなく、ヒネリを加えて明るく楽しく描い
たのが、いかにもジュネ監督らしいところ。

主人公の復讐方法が数々のイタズラを仕掛けるという設定が秀逸。オバカなイ
タズラがたくさん登場します。

しかも、それを実行する人たちのキャラがぶっ飛んでいます。主人公のバジル
は、子どもがそのまま大人になったような、ちょっと現実離れした雰囲気の男。
やや妄想壁もあったりして、アメリの男性版といった感じです。

それを取り巻く仲間たちもユニークな人ばかり。「人間大砲」「言語オタク」
「軟体女」「計算機」など、みんな不思議な特技の持ち主です。

こういう人たちの活躍ぶりを、ブラックな笑いとともに描くから、観ているほ
うは思わず笑ってしまいます。

映像も『アメリ』的な世界。独特の色彩感覚のちょっと怪しげで、シュールで、
どことなくノスタルジックでもある映像。この映像をひと目見ただけで、ジュ
ネ監督の映画だとわかってしまう個性的な世界です。

冒頭からラストまでテンポもバツグンによくて、まったく流れがよどむところ
がありません。あまりにテンポが良すぎて、逆に引っかかりのなさが物足りな
く感じてしまう場面もあったりして……。

クライマックスは、この映画で最高に痛快な場面。アフリカ、あるいは中東で
のハラハラの場面かと思いきや、実はそれもイタズラによるものだというのが
笑えます。その後の最後のイタズラも痛快です。

これほど明確な反戦平和のメッセージを、まったく押し付けがましくなく、愉
快に描けてしまうのだから、ジュネ監督の手腕は見事です。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
(『アメリ』の雰囲気に似た愉快で楽しいユニークな反戦映画。ジュネ監督ら
しい独特の映像世界も見どころ。)
                           (田中ひろあき(ぽち))

2010年9月19日(日)シネマスクエアとうきゅうにて。午後2時の回


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