ミッドナイトイーグル


(2007年 日本)(上映時間2時間11分)
監督:成島出
出演:大沢たかお、竹内結子、玉木宏、吉田栄作、袴田吉彦、大森南朋、石黒
賢、藤竜也 、金子さやか
*丸の内ピカデリー、渋谷ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.midnighteagle.jp/
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<ストーリー>
かつて戦場カメラマンだった西崎(大沢たかお)は、厳冬の北アルプスで、米
軍の戦略爆撃機"ミッドナイトイーグル"が墜落するのを目撃する。政府は、た
だちに自衛隊を現場へ向かわせるが、某国工作員もまた現場を目指していた。
一方、東京では、週刊誌記者で西崎の亡き妻の妹・慶子(竹内結子)が工作員
と接触し、北アルプスで起こりつつある出来事の真相を聞き出すのだが……。

<レビュー>
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破格のスケールで描くサスペンス・アクション……と思ったら拍子抜け!?
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米軍のステルス戦闘機が北アルプスに墜落。それをめぐって某国工作員VS自
衛隊の戦闘が勃発。そこに、主人公の元報道カメラマンが巻き込まれていく…
…。

と聞いて日本映画にしては珍しい、超巨大スケールで描くエンタメ映画かと思
って期待したのですが……。はっきり言って期待はずれの映画でした。

話を聞いたら誰でもスリリングなアクションが展開されると思うはず。しかし、
ステルスが墜落した現場を目指す前半は、自衛隊と某国工作員がただパンパン
と撃ち合うだけ。せっかく険しい雪山が舞台だというのに、『クリフハン
ガー』のような山岳アクションもまったくありません。緊張感とは無縁のシー
ンの連続。

後半はステルスに積まれた時限爆弾のタイムリミットが迫り、これをいかにし
て止めるかというハラハラの展開……のはずなのに、こちらも緊迫感はあまり
ナシ。このネタでここまで緊迫感がない作品は、ある意味、貴重な存在か
も!?

一方、東京では、国家の危機を前にした首相や自衛隊首脳による、息詰まるよ
うなポリティカルドラマが展開……するかと思えば、こちらもなんだか緩〜い
展開。

実は、この映画には人間ドラマがたくさん盛り込まれています。心に傷を負っ
た主人公の元報道カメラマンの再生。彼と息子との親子愛。彼を憎悪する妻の
妹との関係。ジャーナリストである彼女の使命感。さらには、某国工作員と愛
する女性との悲劇。主人公の後輩の新聞記者の活躍などなど。とにかくたくさ
んの人物のたくさんのドラマが描かれます。もしかしたら、つくり手はアクシ
ョンよりも、こうしたドラマのほうを描きたかったのではないでしょうか。し
かし、そうだとしたら、どのドラマも中途半端でツッコミ不足。欲張りすぎな
のでは?

ラスト近くになってやや緊迫感が出てきます。工作員たちに囲まれて絶体絶命
の主人公と自衛隊員。彼らが選んだ道は?そして、首相の決断は?

しかし、結局のところ「人のために犠牲になって死ぬのは美しい!」という、
安易な結末になだれこんでしまいます。途中で強烈な反戦意識だの、自衛隊の
存在意義だの、硬派な話題が登場するので、もっと重たいメッセージでも伝わ
ってくるかと思ったのですが……。

うーん、アクションも物足りず。ドラマも底が浅く。すべてが中途半端な映画
だなぁ〜。ネタは面白いのだから、もっと整理して練り上げて欲しかったと思
います。残念!

それにしても、竹内結子は輝いてますねぇ。少し前の『サイドカーに犬』でも
そうでしたが、存在感バツグン。個人的に、昔はそんなに好きでなかったので
すが、見直している今日この頃。

《ぽちの満足度》
★☆☆☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆
(どうにも中途半端な感じがぬぐえず。やりようによっては、何倍も面白い映
画になったと思うのですが。)
(ぽち)

〔鑑賞データ〕
2007年12月9日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回。


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ミッドナイトイーグル
成島出
大沢たかお
竹内結子
玉木宏
吉田栄作