マイティ・ハート/愛と絆(A MIGHTY HEART)


(2007年 アメリカ)(上映時間1時間48分)
監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャ
ビ、イルファン・カーン、ウィル・パットン、デニス・オヘア
*TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて全国公開
ホームページ http://www.mh-movie.jp/top.html
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<ストーリー>
ジャーナリストとして活動するダニエル(ダン・ファターマン)とマリアンヌ
(アンジェリーナ・ジョリー)のパール夫妻。2002年1月、パキスタンのカラチ
で帰国前の最後の取材に向かったまま、ダニエルが行方不明になってしまう。
地元警察を中心に捜索が始まり、やがて彼はテロリストグループに誘拐された
ことがわかる。そんな中、妊娠5ヵ月になるマリアンヌはひたすら夫の生還を
信じるのだが……。

<レビュー>
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ドキュメンタリータッチでリアルに描く誘拐事件と夫婦愛
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"ウォールストリート・ジャーナル"の記者が中東取材中に誘拐された実際にあ
った事件。その真相を綴った妻の手記を映画化した作品。

主人公は9.11テロの後、アジア各地を取材して回りパキスタンへ着いたジャー
ナリスト夫婦。妻は妊娠5ヵ月で、もうじき2人は帰国予定。夫は最後の取材
に出かけるが、そのまま行方がわからなくなる……。

というわけで、事件の真相に迫っていく捜査陣と、夫の身を案じる身重の妻の
姿を描いています。

犯人探しを中心に据えるにしても、夫婦愛を中心に据えるにしても、普通のエ
ンタメ映画なら、もっとメリハリをつけて仰々しく描くはず。

ところが、この映画はそれとはまったく異質です。最初から最後まで、徹底し
てドキュメンタリータッチで淡々と事の成り行きを描きます。

では、盛り上がらないかといえばそんなことはありません。手持ちカメラを多
用した臨場感あふれる映像。最小限に削ぎ落としたセリフ。ウソのないリアル
な描写が生み出す並外れた緊迫感が、有無を言わさず観客をスクリーンに引き
ずりこみます。

アンジェリーナ・ジョリーの演技も含めて、実に控えめで淡々とした描き方。
それがかえって主人公夫妻の絆の強さを浮き彫りにします。合間で少しだけ登
場する幸せだった2人の回想シーンなども効果的に使われます。

そして、最もスゴいのがアンジェリーナ・ジョリーが絶叫するシーン。何が起
きたのかは伏せておきますが、ラスト近くでそれまでの抑制的な演技とは対照
的な激烈なシーンが登場します。あれはねぇ〜、胸を揺さぶられましたねぇ〜。

監督のマイケル・ウィンターボトムは、『イン・ディス・ワールド』『グアン
タナモ、僕達が見た真実』など、ドキュメンタリータッチを得意とする監督。
この映画でもその特長が十二分に発揮されています。見応えタップリのリアル
なドラマです。

まあ欠点といえば、現地の捜査陣、アメリカ大使館関係者、新聞社スタッフ、
テロリストたちなど、いろんな人がたくさん登場するのに、説明らしい説明が
ほとんどないので混乱しがちなこと。物語の背景にある様々な政治情勢(イン
ドとパキスタンの関係とか)なども、予備知識がないとわかりにくいかもしれ
ません。

おまけにエンタメ性はゼロなので、ストレートに喜怒哀楽を求めると裏切られ
てしまいますのでご注意を。

この映画のプロデューサーはブラッド・ピット。そして主演がアンジェリー
ナ・ジョリー。ここでもまた夫婦愛のドラマが展開か!?

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(アンジェリーナ・ジョリー主演とはいえエンタメ性はゼロ。しかし、あまり
にリアルな緊迫感は見事の一語。個人的にはかなりの満足度でした。)
(ぽち)

〔鑑賞データ〕
2007年12月1日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分の回。


[「ま」のページ]




マイティ・ハート/愛と絆
マイケル・ウィンターボトム
アンジェリーナ・ジョリー
ダン・ファターマン