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マイレージ、マイライフ（UP IN THE AIR）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間49分）
監督：ジェイソン・ライトマン
出演：ジョージ・クルーニー、ベラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック、ジェ
イソン・ベイトマン、エイミー・モートン、メラニー・リンスキー、J・K・シ
モンズ、サム・エリオット、ダニー・マクブライド
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://www.mile-life.jp/
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＜ストーリー＞
「リストラ宣告人」のライアン・ビンガム（ジョージ・クルーニー）は、年間
のほとんどを全米出張に費やし、リストラ対象者にクビを言い渡している。結
婚願望も持たず家族とも距離を置き、唯一の目標は航空会社のマイレージを100
0万マイル貯めることだった。そんなある日、新入社員のナタリー（アナ・ケン
ドリック）が、出張を廃止してネット上で解雇通告を行うことを会社に提案。
ライアンは猛烈に反対するが、ナタリーの教育係を任されてしまう。一方、ラ
イアンはキャリアウーマンのアレックス（ベラ・ファーミガ）と知り合い、気
楽な関係を楽しむのだが……。
＜レビュー＞
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ユーモラスで軽快な語り口で描く人生の真実
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孤独な主人公が少しずつ変化していく……というのはよくあるお話。しかし、
その設定や語り口がユニークなのがこの映画。リストラなど現代社会の問題を
織り込みつつ、人間の生き方、人と人との関わり方などの普遍的なテーマを追
求。誰もが共感できて、いろいろと考えさせてくれる映画です。
主人公のライアンはリストラ宣告人。年間300日以上も全米を出張し、企業の依
頼で解雇対象者にクビを言い渡す仕事。結婚願望もなく家族とも距離を置く彼
の唯一の目標は、航空会社のマイレージを1000万マイルためること。その目標
ももうすぐ達成間近。
そこに現れたのが、大学を首席で卒業した新入社員のナタリー。出張を廃止し
てネットで解雇通告を行うシステムを提案。楽しみな出張を奪われてなるもの
かと猛反対のライアンは、彼女の教育係を押し付けられ……。
出張を続ける人生をエンジョイしているライアン。そこに突然入り込んできた
新入社員のナタリー。この凸凹コンビによるリストラ宣告出張の道中を、テン
ポよくユーモラスに描くのは『ＪＵＮＯ／ジュノ』『サンキュー・スモーキン
グ』のジェイソン・ライトマン監督。重すぎず、軽すぎず、程よく軽快な語り
口は過去の作品と共通です。
面白いのが２人のキャラクター設定。結婚や家庭など眼中になく、深い人づき
合いも望まないライアンなのに、リストラ宣告にあたっては直接相手と会って、
少しでもその思いを聞いてあげるべきだと考えています。一方、ナタリーは、
結婚願望が強く、家族こそが大切だと考えているものの、リストラ宣告にあた
ってはネットで非情に解雇を通告すべきだと主張します。
このネジれた設定によって２人の人物像に厚みが出て、ポンポンと弾む会話に
深みが加わっていきます。ナタリーを連れて出張を続けるうちに、ライアンの
心は少しずつ変化していきます。
そこに関わってくるのがもう１人の女性。キャリアウーマンのアレックスです。
彼女とライアンはお互いに同類の人間だと察知して、最初は旅先だけの気楽な
関係を楽しみます。しかし、そのうちに２人の関係に微妙な変化が訪れます。
その変化が決定的になるのが、後半の妹の結婚式。すったもんだしつつも、家
族の温かさに触れたライアンは、アレックスとの今後を本気で考えるようにな
ります。
しかし、結末に待っているのは単純なハッピーエンドではありません。それで
も、人と人とのつながりの大切さや、何も背負わない人生の寂しさが、さりげ
ないメッセージとして伝わってきます。余韻の残る温かな結末です。
アカデミー主演男優賞にノミネートされたジョージ・クルーニーに加え、ベ
ラ・ファーミガ、アナ・ケンドリックの演技もなかなかのもの。
エンディングで流れる音楽は、実際に52歳でリストラされた人から送られた音
源をそのまま使ったそうで、この映画にピッタリです。
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（ユーモラスでテンポの良い語り口を通して、人生について考えさせられます。
明確な結末ではないものの、観終わって温かさが残ります。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年3月22日（月）新宿武蔵野館にて。午後4時40分の回
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