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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
（MAN SOM HATAR KVINNOR）
（2009年 スウェーデン）（上映時間2時間33分）
監督：ニールス・アルゼン・オプレブ
出演：ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、スヴェン＝ベルティル・タ
ウベ、イングヴァル・ヒルドヴァル、エリカ・ベルジェ、ステファン・サウク、
ビヨルン・グラナート グスタフ・モレル、ペーター・ハーバー 、マーリカ・
ラーゲルクランツ
＊シネマライズほかにて公開中。順次全国公開予定
ホームページ http://millennium.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
ジャーナリストのミカエル（ミカエル・ニクヴィスト）は、大物実業家の不正
を告発した記事で逆に名誉毀損の有罪判決を受ける。そんな彼のもとに、資産
家からある調査依頼が舞い込む。孤島で40年前に少女が忽然と姿を消した事件
を解明してほしいというものだった。依頼を受けたミカエルだったが、調査は
難航する。一方、ミカエルの身辺調査を行っていた女性リサーチャーのリスベ
ット（ノオミ・ラパス）は、ある事実を突き止めてミカエルに助け船を出す。
やがて２人は協力して真相究明に当たるのだが……。
＜レビュー＞
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ナゾの女とジャーナリストによるスリリングで濃密なミステリー
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全世界でベストセラーになった（日本でも大人気で書店で平積みになっていま
す。）スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンのミステリー小説の映画化。
ちなみに、著者はこれが遺作になってしまったそうです。
物語の舞台もスウェーデン。主人公はワナにはまって名誉毀損の罪に問われた
ジャーナリストのミカエル。そんな彼に、大資産家からある事件の調査依頼が
舞い込みます。それは40年前に親族の少女が失踪したという事件でした。すで
に少女は殺されており、犯人は自分の一族の者ではないかというのがその資産
家の見立て。ミカエルは調査を開始します。
そのミカエルの調査と並行して描かれるのが、背中にドラゴンの刺青をしたリ
スベットという女。調査会社の依頼でミカエルの身辺調査を行っていた彼女は、
ミカエルのパソコンに侵入して事件をチェックします。
リスベットの正体はナゾです。しかし、どうやら過去に大きな心の傷を負った
ことがわかります。それに絡んで彼女には後見人がいますが、そいつはとんで
もないヤツで彼女をいたぶります。しかし、リスベットは毅然として反撃して、
そいつを何倍も痛い目にあわせてしまいます。彼女の人物造型が素晴らしい！
前半はナゾがナゾを呼ぶ展開。ミカエルが追う40年前の事件に加えて、リスベ
ットの正体は何なのか、そして彼女が何をしようとしているのか、まったく先
が読めません。
極寒の島の凍てついた風景、スクリーンを覆う異様な緊張感、どれをとっても
ミステリーとしての魅力は十分。スクリーンから目が離せませんでした。
ミカエルの調査は、不思議な数字によって行き詰まります。それを解明したの
はリスベット。匿名でそれを知らせたリスベットの居場所を突き止めたミカエ
ルは、彼女に調査への協力を依頼します。
中盤以降は、ミカエルとリスベットがタッグを組んで調査を続けます。事件の
背景にはおぞましい猟奇連続殺人があることが判明。ここからはナゾ解きの面
白さが全開。そして、ミカエルとリスベットの微妙な関係のドラマも……。
やがて、ついに事件の真相が明らかになったかと思ったら、そこには大きなワ
ナが……。この手のミステリーにありがちな展開とはいえスリリングさは超一
級品。リスベットが真犯人に対して取った態度が、彼女の過去に関係している
というのも奥行きのある展開。
ラストには、40年前に失踪した少女のエピソードが用意され、冒頭で描かれた
ミカエルの名誉毀損事件の顛末なども描かれます。おどろおどろしい猟奇殺人
事件がネタなのに、最後には胸がスーッとする心地よさ。
さすがに上下2冊の分厚い原作の映画化だけに、駆け足のところもありますが、
不自然さは感じられません。原作を読んでいなくても十分に理解できました。
この手のミステリー大作の映画化としては上出来です。
リスベット役のノオミ・ラパスが見事な演技。過去の傷を持ち、自分を害する
ものに容赦なく立ち向かいながら、ミカエルとの関係では心が揺れ動く。そん
な複雑な心理を表現。
原作は三部作で、この映画も三部作の予定。本編上映後には、第二部の予告も
ありました。次回も楽しみです。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（見応え十分のミステリーで2時間半があっという間。ミステリー好きならずと
も一見の価値あり。続編も楽しみ。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年1月17日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後4時10分の回。
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