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ミスト（THE MIST）
（2007年 アメリカ）（上映時間2時間5分）
監督・脚本：フランク・ダラボン
出演：トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ネイサン・ギャンブ
ル、ローリー・ホールデン、アンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズ、ウ
ィリアム・サドラー、アレクサ・タバロス
＊有楽町スバル座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.mistmovie.jp/
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＜ストーリー＞
激しい嵐に襲われた翌日。デヴィッドは息子とともにスーパーマーケットへ買
い出しに出かける。すると、不気味な濃い霧が町を包み、人々は店の中から身
動きが取れなくなってしまう。まもなく、その霧の中から不気味な生物が現れ
て、人々を襲い始めるのだった……。
＜レビュー＞
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キング＆ダラボンによる異様な緊張感に満ちたホラー。マジでコワい……
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『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』に続く、スティーヴン・キング
原作＆フランク・ダラボン監督による映画。といっても前２作がホラー的要素
はあるものの、感動の人間ドラマといった色合いが強かったのに対して、今回
はマジで怖い王道のホラー映画になっています。
ある田舎町に激しい嵐が訪れた翌日。不気味な濃い霧が発生する中、主人公の
デヴィッドは、息子と一緒にスーパーに買い出しに出かけます。すると、霧は
町中を包み、しかもその霧に襲われたという人が現れたため、デヴィッドはじ
めスーパーの客は、身動きがとれなくなります。そして、まもなく、その霧の
中から不気味な触手生物が襲ってくるのです。
この映画のほとんどはスーパーの店内が舞台。その閉塞された空間の中で、異
様な緊張感に包まれたドラマが展開します。
他のホラー映画と同様に、触手生物や巨大な昆虫といった怪物が直接スクリー
ンに登場しますが、それはあくまでも必要最低限の登場の仕方。そうした怪物
そのもので恐がらせるのではなく、それに対する人間の姿を中心に描くことで、
チープでないホンモノの恐怖を生み出しています。
店の外に出て行く人にロープを巻いて、それで外の状況を伝えるところなんて、
それはもう背筋ゾクゾクものでした。いかにも意味ありげなカメラワークをは
じめ映像も冴え渡っています。
そして、この映画の怖さをさらに煽るのが、店内に閉じ込められた人々による
極限のドラマ。前半で、触手生物の存在を知ったデヴィッドたちは、バリケー
ドを作り始めます。しかし、「そんなものいるわけないよ！」とバカにする弁
護士たちは、これに公然と反抗して外へ出て行ってしまいます。
また、中盤以降は、狂信的に宗教に入れ込む女が、「これは神が与えたもの
だ」と演説を始め、人々を洗脳し、生贄を捧げることを提案します。それに従
う人々の群れが、デヴィッドたちを追い込む姿は、まさに狂気の沙汰。ある意
味、怪物は霧の中に潜むだけでなく、人間の心の中に潜んでいることを感じさ
せる、すさまじい展開です。『ミスティック・リバー』のマーシャ・ゲイ・
ハーデンが、この狂信的な女をリアルに演じています。
怪物に翻弄され、本来ならその怪物に団結して立ち向かうはずの仲間たちに翻
弄され、デヴィッドたちはどこへ行くのか？
ラストの展開は、原作とは違うものだそうです。それはまさに戦慄の結末です。
哀しいとか、切ないというのとも違います。ここには救いなどありません。人
間の抱える闇、そして運命の過酷さが冷徹に突きつけられます。あらためてフ
ランク・ダラボンのスゴサがわかるエンディングです。
とにかく怖すぎます。まったく息を抜くところがなく、最初から最後まで緊張
感に満ち満ちている映画です。怪物に襲撃される映画といえば、最近では『ク
ローバーフィールド／HAKAISHA』がありましたが、あの映画がゴミみたいに見
えます。奥行きのある怖さは、最近のホラーの中でもピカイチ。
というわけで、怖い映画がお好きな方にはぜひ観ていただきたいのですが、血
がドクドク流れたり、下半身だけの死体が登場したりと、陰惨な場面が多いの
で、そこだけはご注意を。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（+1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（怪物と人間の怖さがダブルで体験できます。半端でない怖さを体験したい方
はぜひ。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年5月15日（木）シネ・リーブル池袋にて。午後2時35分の回
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