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モンガに散る（MONGA）
（2010年 台湾）（上映時間2時間21分）
監督：ニウ・チェンザー
出演：イーサン・ルアン、マーク・チャオ、マー・ルーロン、リディアン・ヴ
ォーン、クー・ジャーヤン
＊シネマスクエアとうきゅうほかにて全国公開
ホームページ http://www.monga-chiru.com/
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＜ストーリー＞
1986年、台北一の歓楽街・モンガに越してきた高校生の"モスキート"（マー
ク・チャオ）は、校内の争いをきっかけに、モンガ一帯の権力を握る廟口組の
親分の息子"ドラゴン"率いる極道グループに目をつけられ、仲間に入る。慣れ
ない世界に戸惑いつつ、次第に青春を謳歌していくモスキート。だが、やがて
町の利権を狙う勢力がモンガに乗り込み始め、モスキートたちは抗争と陰謀に
巻き込まれていく……。
＜レビュー＞
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みずみずしい青春映画と激しい黒社会映画の融合
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台湾で大ヒットした黒社会を扱った映画。ただし、前半は黒社会映画というよ
りは青春映画の趣。
1986年、台湾の歓楽街モンガの高校に転校してきたモスキートというニック
ネームの生徒が、ふとしたことからヤクザのボスの息子ドラゴンを中心とした
極道グループに気に入られ、彼らの５人目の仲間に加入。最初は極道の世界に
戸惑いつつも、初めてできた友達とケンカに明け暮れながら青春の日々を謳歌
します。
モスキートや極道仲間たちの若々しく輝いていた日々をキレのある映像で描写。
ケンカシーンを中心にアクションも満載。モスキートと顔にあざのある娼婦と
のピュアな恋愛もみずみずしく描かれます。笑いもふんだんに盛り込まれてい
ます。当時流行したエア・サプライなどの音楽も効果的。
義兄弟の契りを結んで友情を育む若者たちですが、そこは極道の世界。歓楽街
の利権をめぐるヤクザ同士の争いに大陸から来た本省人のヤクザが絡み、さら
に新旧のヤクザの対立が先鋭化。若者たちはそれに翻弄されていきます。それ
ぞれの思いを胸に自分の進む道を模索するものの、ベクトルは微妙に食い違っ
ていきます。
後半は前半とは一転して、黒社会映画らしい壮絶なドラマが展開。前半のキラ
キラした青春の輝きとのコントラストが際立ちます。しかし、それでも登場人
物の心理や熱気がリアルに伝わるところは一貫しています。
まもなく抗争と陰謀、信頼と裏切りが錯綜しながら、壮絶なクライマックスに
突入。ちょっとした思いのすれ違いが、若者たちの友情を狂わせ、哀しくて切
ない結末へ向かいます。
この映画で描かれるのはヤクザの抗争。しかし、キラキラした青春の日々の友
情が、成長するにつれてもろくも崩れ去り、思わぬ方向に進んでしまうのはよ
くあること。だからこそ、彼らの思いが観客にもダイレクトに伝わって胸を揺
さぶるのでしょう。
ラストに映されるモスキートの母親や、彼を待ち続ける娼婦の姿が涙を誘いま
す。
モスキートを演じたイーサン・ルアン、グループの影のリーダーを演じたマー
ク・チャオなどの熱演が光ります。娼婦を演じたクー・ジャーヤンの繊細な演
技も心に残ります。
みずみずしい青春映画と激しい黒社会映画を巧みに結び付けて、笑いあり、涙
あり、アクションありのエンターティメント性も盛り込んだ映画。人間ドラマ
としての見応えもタップリです。長編2作めだというニウ・チェンザー監督、な
かなかやるものです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（キラキラした青春の輝きと挫折が描かれた群像劇。2時間半近く最後まで一気
に引っ張られました。）
（田中ひろあき（ぽち））
2010年10月19日（火）シネマート試写室にて。
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