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ナイロビの蜂（THE CONSTANT GARDENER）
（2005年 イギリス）（上映時間２時間８分）
監督：フェルナンド・メイレレス
出演：レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ユベール・クンデ、ダ
ニー・ヒューストン、ビル・ナイ、ピート・ポスルスウェイト
＊丸の内プラゼールほか松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://www.nairobi.jp/
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＜ストーリー＞
アフリカ・ケニアのナイロビで暮らす英国外務省一等書記官ジャスティン（レ
イフ・ファインズ）と、アフリカで救援活動を続ける妻テッサ（レイチェル・
ワイズ）。ある日、テッサが救援活動中に何者かに殺されてしまう。警察はよ
くある殺人事件として処理しようとするが、事件に不審なものを感じたジャス
ティンは、自ら事件の調査に乗り出す。やがて、彼は妻が巨大な陰謀に巻き込
まれていたことを知るのだが……。
＜レビュー＞
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アフリカを舞台にした陰謀をめぐるスリリングで息詰まるサスペンス
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主人公はケニアに住むガーデニングが趣味の英国外務省一等書記官ジャスティ
ンと、アフリカ救援活動に取り組む妻テッサ。オープニングから間もなく、そ
のテッサが死んでしまう。夫ジャスティンが受けた激しい衝撃。思い起こすの
は彼女との出会い、そして楽しかった日々……。
というわけで、その後に、お手軽でエロいベッドシーンが登場した時には、
「な〜んだ、死んだ妻と遺された夫をめぐる三流メロドラマか」と早合点して
しまったのでした。
しかし、実はそうではなかったのです。夫が妻の死の謎を探るうちに、彼の身
に危険が迫ってくる。妻の死には、アフリカへの援助活動が絡み、その背後に
は巨大製薬会社のドス黒い陰謀が潜んでいたのだ！！！！！ （￣□￣；）！
つまり、メロドラマなんかじゃなくて、国際的な陰謀をネタにしたスケールの
デカ〜いサスペンスなんです。原作は人気作家ジョン・ル・カレの同名小説。
前半はややモタモタした感じだったものの、後半になるにしたがって、どんど
んおもしろくなって目が離せなくなりました。スリリングさがハンパではない
のです。寝不足気味で観たため最初は眠かったボクも、最後は目がパッチリ。
いちばんスゴかったのがキレまくりの映像です。ブラジルの貧民街に住む少年
たちの戦いを描いた『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス監
督が生み出す映像は、けた外れの緊迫感と迫力に満ちています。手持ちカメラ
を中心にしたドキュメンタリータッチの映像、要所で多用されるフラッシュバ
ックなど細かなテクニックを使いながら、スリルと怪しさをズンズンと積み重
ねていきます。おかげで、サスペンスの醍醐味が十二分に味わえました。
しかも、見事なのがただのサスペンスではなく、それを通して、アフリカの現
状がリアルに描き出されていること。貧困、難民、内紛、そして、貧しい人々
を食い物にする製薬会社による黒い魔手……。社会問題をしっかりあぶりだし
ているところが、この映画の見どころです。
逆に欠点といえば、主人公夫妻の愛の物語が深みに欠けるところ。事前のＰＲ
は「愛の物語」的な売り方をしている感じですが、そこはそれほどではありま
せん。 ε―（￣、￣Ａ）
ただし、そのあたりも映像の力によってカバーしていくんですよね。たいした
ドラマじゃないのに「やっぱり二人の間には確かな愛があったんだなぁ〜」と
強引に思わせてしまうんですヨ。だから、ラストはそれなりに切なく胸に迫っ
てくるかも。
最初は何となく頼りない夫役のレイフ・ファインズが、徐々に鬼気迫る表情を
見せるようになるところも印象的。また、妻役のレイチェル・ワイズはこの映
画でアカデミー助演女優賞を受賞しました。ビル・ナイ、ピート・ポスルスウ
ェイトといったイギリス映画の実力派俳優の演技も光ります。
こういう陰謀モノのサスペンスはよくありますが、この映画のスリリング度は
かなりのもの。おまけに社会派の要素を織り込み、ラブストーリー的な要素も
持つという映画です。
企業の慈善活動なんていうと、つい無条件に賞賛したくなりますが、その裏に
は何があるかわかんないんですねぇ〜。恐ろしいですねぇ〜。それにしても、
いったいいつまでアフリカの人たちは、こうやって食い物にされるの
だ？？？？？ そんなことを考えさせる映画でした。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（見事な映像を中心にした緊迫感はサスペンス好きならずとも体感したいとこ
ろ。ただし、ラブストーリーにはあんまり期待しないでね。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年５月13日（土）池袋シネマ・ロサにて。午後１時の回
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