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ノン子３６歳（家事手伝い）
（2008年 日本）（上映時間1時間45分）
監督：熊切和嘉
出演：坂井真紀、星野源、津田寛治、佐藤仁美、新田恵利、舘昌美、宇津宮雅
代、斉木しげる、鶴見辰吾
＊銀座シネパトス、ヒューマントラストシネマ文化村通りにて公開
ホームページ http://nonko36.jp/
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＜ストーリー＞
東京でタレント活動をしていたもののパッとせず、結婚相手のマネージャーと
も離婚して神社の実家に出戻ったノン子こと、36歳の坂東ノブ子（坂井真紀）。
居心地の悪さを感じながら無気力な日々を送っていた彼女の前に、神社のお祭
りで露店を出そうという若者マサル（星野源）が現われる。世間知らずだが純
朴なマサルに心を動かされるノン子だったが、そんな時、別れた元夫・宇田川
（鶴見辰吾）が突然やって来て、東京に戻るように勧める……。
＜レビュー＞
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坂井真紀が３６歳のワケあり女をリアルに演じる
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若いうちにテレビドラマで活躍しても、そのうちに消えていく女優が多い中で、
この映画の主演の坂井真紀は、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』『ビ
ルと動物園』などの映画で、確かな存在感を発揮しているようです。
今回彼女が演じるノン子は、３６歳のバツイチの元タレント。夫とも離婚して
実家の神社に出戻り中。自称「家事手伝い」とはいうものの、実際はただブラ
ブラしているだけのダメダメ女。父親からは煙たがられ、居心地が悪くて仕方
がない。先の見通しもないし、楽しいことなどなにもない毎日。
ところが、そんな彼女の前に現れる２人の男。１人は神社の夏祭りで露店を出
したいとやってきた愚直で不器用な青年。そして、もう１人はタレント復帰の
話を持ち込んでくる離婚した元亭主。はたして、ノン子の行く末は？
この映画の見どころはノン子の心理描写の見事さ。
同級生の女性のスナックで飲んで減らず口を叩いて、しかも、「タバコを買い
に来ただけだから持ち合わせがない」と言い放つ図々しさ。若いカップルがせ
っかく木の枝に結んだおみくじを読んで、ポイ捨てする無神経さ。あんまり嫌
な女なので、「コイツ、殺してやろうか」と思ったぐらいです（笑）。
でも、そんな彼女の前に１人の青年が現れて、少しずつ心が揺れ動いていきま
す。乾ききったノン子の心が、ジワジワと氷が解けるように変化していく繊細
な描写。そのまま恋愛モードに突入か！？ と思ったところに出現した元亭主
に対して、嫌悪感を持ちつつもそのまま関係を持ってしまうあたりの、やるせ
ない感じ。一筋縄ではいかない、複雑で微妙な女心がリアルに描き出されます。
関心したのが、元亭主との濡れ場。長回しでかなりエロいシーンを延々と映す
のですが、それがノン子の心と体の現状を的確に表現します。しかも、その後
で出てくる青年相手の濡れ場との対比で、２人の男に対するノン子の気持ちの
違いまで表現してしまいます。
熊切監督の演出力や映像の力に加えて、やはり坂井真紀の演技が印象的。演技
のテクニックはそれほどでもないけれど、登場人物になりきる力はかなりのも
の。今回の役は実際の年にも近くて重なる部分が多いせいか、いちだんとリア
ルに見えてきます。
お話自体はけっこう強引だったり、都合の良いところもあります。ヒロインの
前に現れる青年が何のコネもないのに、露店でヒヨコを売ろうとするところは
リアリティが感じられないし、クライマックスの大騒動なども強引すぎます。
しかし、そうしたリアリティのなさによって、逆にヒロインのリアルさが際立
つから不思議なもの。
ラストはけっして甘いハッピーエンドではありません。しかし、何事にも中途
半端なノン子らしい結末。今後の彼女の人生をアレコレと想像させます。
坂井真紀以外の役者も、なかなか面白いキャスト。スナックのママ役の新田恵
利（元おニャン子クラブ）が意外な存在感。元亭主役の鶴見辰吾も好演でした。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（３６歳のワケあり女の姿がリアルに描き出された映画。男性よりも女性のほ
うがグッとくるかも？）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年1月10日（土）ヒューマントラストシネマ文化村通りにて。午後2時35分
の回。
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