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ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ（NOWHERE BOY）
（2009年 イギリス・カナダ）（上映時間1時間38分）
監督：サム・テイラー＝ウッド
出演：アーロン・ジョンソン、アンヌ＝マリー・ダフ、クリスティン・スコッ
ト・トーマス、デヴィッド・スレルフォール
＊TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開
ホームページ http://nowhereboy.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
1950年代のイギリス、リバプール。幼い頃から伯母夫婦のもとで育てられたジ
ョン・レノン（アーロン・ジョンソン）だが、音楽好きの伯父ジョージが急死
してしまう。その葬儀で実母のジュリア（アンヌ＝マリー・ダフ）を目撃し、
彼女が近所に住んでいることを知ったジョンは、伯母ミミ（クリスティン・ス
コット・トーマス）に内緒で会いに行く。自由奔放なジュリアは、ジョンを恋
人のように迎え、ロックンロールの楽しさを教える。それをきっかけにバンド
活動にのめりこむジョンだったが……。
＜レビュー＞
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若き日のジョン・レノンの苦悩と旅立ちを描く
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ビートルズのジョン・レノンの若き日を描いたドラマ。複雑な生い立ちだった
という噂は聞いていましたが、こういう過去があったとはねぇ。
伯父と伯母に育てられたジョン・レノン。ところが、音楽好きでかわいがって
くれた伯父が急死。伯母のミミと2人の生活になります（まもなく下宿人も同居
しますが）。そんな時、伯父の葬儀の時に見かけた実母のジュリアが近所に住
んでいるとわかって、ジョンは彼女の家に入り浸るようになります。自由奔放
なジュリアは、ジョンと恋人のように接し、ロックンロールを聞かせます……。
ジョン・レノンが音楽に目覚め、バンドを始めて、ポール・マッカートニーや
ジョージ・ハリスンと知り合う経緯などが描かれるものの、スーパースターの
伝記映画というわけではありません。複雑な生い立ちで悩みを抱えた青年が、
成長して新たな人生に旅立つまでを描いた青春映画。青春の光と影が鮮やかに
刻み込まれています。同時に、ジョンの歌や行動の原点がよくわかる映画でも
あります。
特に印象的なのがジョンの心理描写です。実母と再会して交流を深める彼の喜
び。それでも、「なぜ自分を捨てたのか」という思いが頭から消えることはあ
りません。しかも、実母には新しい家族という存在があります。そんな複雑な
心理を余すところなく表現。冒頭の夢の中のシーンや、幼い頃の記憶の中の
シーンを挟み込むなど、鮮やかな語り口が目に付きます。
また、ジョンを心から愛しながら、現在の夫や子供との板ばさみに悩む実母ジ
ュリア、ジョンがジュリアと交流を深める姿に心を痛める伯母ミミの心理も、
的確に表現されています。
後半になってドラマは大きく動きます。自分の出生の秘密を明かすように迫る
ジョンに対して、ついにミミとジュリアは真実を打ち明けます。その際、激し
い対立をする2人ですが、すべてが明らかになると、新たな関係を築くようにな
ります。ところが、それからまもなく衝撃的な出来事が起きます。
ラストは試練を乗り越えて、ジョンが新たな人生を踏み出したことを伝えて終
わります。しみじみとした感動を与えてくれる結末です。
ジョン役のアーロン・ジョンソンの若々しさに加え、実母役のアンヌ＝マ
リー・ダフ、伯母役のクリスティン・スコット・トーマスの存在感のある演技
が印象的。ポール・マッカートニー役のトーマス・ブローディ・サングスター
が適役なのにもビックリです。監督はイギリスの現代美術界を代表する女性
アーティストの一人で、これが長編デビュー作のサム・テイラー＝ウッド。
青春ドラマの佳作。ビートルズやジョンに興味がなくても、楽しめるはずです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（スーパースターが主人公ではあるものの、普遍的な青春ドラマとしての魅力
があります。ジョン・レノンを知らなくても楽しめると思います。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年11月6日（土）新宿ピカデリーにて。午後2時50分の回
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