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オカンの嫁入り
（2010年 日本）（上映時間1時間50分）
監督・脚本：呉美保
出演：宮崎あおい、大竹しのぶ、桐谷健太、絵沢萠子、國村隼、林泰文、斎藤
洋介、春やすこ、たくませいこ、友近、綾田俊樹
＊角川シネマ新宿ほかにて全国公開
ホームページ http://www.okannoyomeiri.jp/
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＜ストーリー＞
父の顔を知らずに生まれた月子（宮崎あおい）は、医院で働く母の陽子（大竹
しのぶ）と２人暮らし。ある日、陽子が深夜に若い金髪の男・研二（桐谷健
太）を連れて帰宅し、「この人と結婚します」と宣言する。あまりの唐突な母
の行動に戸惑う月子。家族同然の付き合いの大家のサク（絵沢萠子）や陽子の
勤め先の院長・村上（國村隼）は、月子をなだめようとするのだが……。
＜レビュー＞
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さりげなさが、さわやかな感動を呼ぶ母娘物語
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友近とユースケ・サンタマリアが共演した前作『酒井家のしあわせ』が評判だ
った呉美保監督の新作。今回はオリジナル作品ではなく小説の映画化ですが、
そのタッチは前作と共通するものがあります。
ストーリー自体は、それほど驚くようなものではありません。よくある母娘の
ドラマです。
母・陽子と娘・月子が仲良く暮らす家庭。しかし、ある日、陽子が突然若い男
を連れてきて「この人と結婚する」と宣言。それに対して戸惑い、あきれる娘。
しかし、その裏には大きな秘密が隠れていて……。
ユーモアを交えながら心の機微をすくいとる呉監督の演出は今回も健在。母娘
の関係がギクシャクする中で、それぞれの微妙な心理を巧みに描き出します。
深く結びついているがゆえに、素直になれず母に反発する月子。一方、大きな
秘密を抱えながらも、それを表に出さず、あっけらかんとした態度に徹しよう
とする陽子。中盤以降は、月子が抱えた過去のトラウマなども明らかになり、
感情のゆらめきがさらに繊細に表現されます。
陽子を演じるのは大竹しのぶ、月子を演じるのは宮崎あおい。ややワンパター
ン気味のところはあるものの、それぞれのキャラクターをしっかり表現した演
技です。大家役の絵沢萠子、医院の院長役の國村隼の存在もドラマの絶妙のス
パイスになっています。
やがて母の抱えた秘密が明らかになって、クライマックスは母娘による感動の
シーン。しかし、そこで過剰な演出に走らず、観客を強引に泣かせたりしない
のが、呉監督の持ち味。そのさりげなさが、押しつけでないさわやかな感動へ
と観客を導きます。
この映画にしばしば登場する食卓シーン。ラストシーンも料理をうまく使った
明るく、飄々としたシーンで、余韻を残します。
特に驚くようなところはないけれど、安定した脚本と演出で幅広い層が楽しめ
る映画。母と娘のごく自然な情愛に触れて、温かな気分になれます。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（母と娘の感情の機微が巧みに描きこまれ、温かな気持ちになれるドラマです。
誰が観てもそれなりに楽しめそう。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年9月5日（日）角川シネマ新宿にて。午後1時55分の回
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