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女の子ものがたり
（2009年 日本）（上映時間1時間50分）
監督・脚本：森岡利行
出演：深津絵里、大後寿々花、福士誠治、波瑠、高山侑子、森迫永依、三吉彩
花、佐藤初、大東俊介、佐野和真、賀来賢人、落合恭子、黒沢あすか、上島竜
兵、西原理恵子、板尾創路、奥貫薫、風吹ジュン
＊シネクイント、シネカノン有楽町2丁目ほかにて全国公開
ホームページ http://www.onnanoko-story.jp/
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＜ストーリー＞
スランプ気味の漫画家、高原菜都美（深津絵里）は、新米編集者の財前（福士
誠治）に仕事をせかされるが、どうしてもやる気が出ない。そんな時、菜都美
はかつて子供時代に、きみことみさという２人の女の子とともに過ごした、な
つかしい日々を思い出すのだが……。
＜レビュー＞
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３人の女の子のキラキラした友情と主人公の再生の物語
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人気漫画家・西原理恵子の自伝的漫画の映画化です。西原漫画の映画化として
は、『ぽくんち』『いけちゃんとぼく』に続く３作目となります。
スランプでちゃんと書けない漫画家の主人公、菜都美。新しい編集者がやって
きて原稿を催促するものの、まったくやる気が出ない。そんな時、子ども時代
の２人の少女と過ごした日々を思い出す……。
スランプでだらけた日々を送る主人公と並行して、彼女の少女時代の友情物語
が回想として描かれます。それは実にキラキラしたかけがえのない日々。とは
いえ、けっしてキレイごとだけが描かれるわけではありません。
小学生で最初に出会った時から、主人公は継父の事業が失敗して家庭がギクシ
ャクしているし、友達のきみことみさも、子だくさんの超貧乏な家だったり、
母親がダメ人間だったりします。そうした負の側面を抱えつつも、まったくひ
るむことなく、明るく前向きに生きていく女の子たち。このあたりのたくまし
さは、西原漫画に共通するキャラクターです。
森岡利行監督は、周囲の描写を必要最低限にして、３人の女の子の日常を徹底
して追いかけます。３人でブラジャーを買いに行ったエピソードなど、大人の
世界を覗き見た彼女たちの期待と不安もみずみずしく描かれます。
やがて高校生になった彼女たちに、大きな変化が訪れます。きみこは、不良の
男の子とつきあうようになり、みさは、家族が事件に関係して退学して働くよ
うになります。菜都美も父が失踪してしまいます。
それでも３人の友情は変わることがありません。「私たちはいつか家を出て行
くんだ」という未来への希望で結びつく３人。菜都美が野原に建つ小屋の壁に
描いた絵は、家を出た女の子たちの前に道が広がっている希望を表現したもの
でした。
しかし、その後、彼女たちの絆にも変化が訪れます。きみことみさは結婚して、
夫の暴力や借金生活に苦しみます。それでも自分たちは幸せだという彼女たち
に、強い違和感を持つ菜都美。３人それぞれの思いが爆発して、３人の友情は
一つの区切りを迎えます。
過酷な現実の中でも、生き生きと毎日を過ごしてきた３人の女の子たち。いた
ずらに感傷に走らず、彼女たちの姿をありのままに映そうとしたことで、かえ
って鮮烈で印象深い友情物語になりました。
そして、いったんは苦い思い出となったはずの友情が、ラストの主人公の帰郷
によって再びキラキラと輝きだす仕掛けも効果的。さりげなく主人公の再生の
ドラマへとつなげています。
大人になった菜都美を演じる深津絵里もいいのですが、幼少時代や高校時代の
３人を演じた役者が印象的。特に大後寿々花、波瑠、高山侑子がいいですね。
残念なのは、森岡監督自身が書いた脚本にやや難があるところ。主人公と編集
者のやり取りなど、消化不良のセリフが目立ったりして、もったいなかったで
す。
おそらくこの映画を観た女性は、自身の少女時代の友情の記憶とシンクロして、
感慨深いものがあるに違いません。そこまでの思いはないにしても、男性にと
っても心にジンとくる映画ではないでしょうか。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（少女時代のキラキラした友情を描いた映画。女性には特にオススメです。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年9月6日（日）シネクイントにて。午後2時50分の回
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