大奥

（2006年　日本）（上映時間２時間６分）
監督：林徹
出演：仲間由紀恵、西島秀俊、井川遥、及川光博、杉田かおる、木村多江、浅
野ゆう子、松下由樹、岸谷五朗、高島礼子
＊丸の内TOEI1ほか東映系にて全国公開
ホームページ　http://www.oh-oku-movie.jp/site01.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

＜ストーリー＞
徳川七代将軍・家継の時代。大奥では、先代将軍・家宣の側室でありながら将
軍の生母となった月光院（井川遥）に対し、家宣の正室・天英院（高島礼子）
一派が激しい敵意を燃やしていた。大奥総取締を任された絵島（仲間由紀恵）
は月光院を必死で支えるが、月光院と側用人・間部詮房（及川光博）とのただ
ならぬ関係が噂となる。そんな中、天英院派は、絵島を陥れようと歌舞伎役
者・生島新五郎（西島秀俊）を彼女に接近させる……。

＜レビュー＞
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
嫉妬と陰謀渦巻く大奥を描いた時代劇。ＴＶドラマファンは満足できるはず
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
ＴＶドラマの大ヒットで図に乗った（？）フジテレビ。ついに映画までつくっ
てしまいました。江戸城大奥を舞台にすればすべて「大奥」モノなわけですが、
今回取り上げたのは徳川家継の時代に起きた絵島生島事件。大奥総取締と歌舞
伎役者による大スキャンダルです。

ＴＶドラマでもおなじみですが、女ＶＳ女の嫉妬と陰謀渦巻くバトルのスサマ
ジイこと。なまじのホラー映画よりコワイかもしれませぬ。特に幼い将軍の実
母である月光院に対して、先代将軍の正室・天英院一派が仕掛けるイジメのス
ゴさときたら……。毒ヘビ攻撃までサクレツ。おお、コワー！！！

当然ながらテレビよりもお金をたくさんかけていて、セットや衣装も超豪華。
それを見ているだけで目の保養になりそうです。

配役も仲間由紀恵をはじめとする大奥の面々はもちろん、チョイ役まで有名俳
優を起用する豪華版。いったいギャラの合計はいくらなのさ、と余計な心配ま
でしてしまいます。

しかし、ドラマ的にテレビ以上の魅力があるかといえば疑問。
なかでも、今回のお話の中心である絵島生島事件がどうにも薄味なのが気に入
りません。初めて恋を知った絵島の揺れる心、金のために彼女を陥れようとし
ながらいつの間にか惹かれていく生島。そんな２人の心理があまり伝わってき
ませんねぇ～。脚本、演出ともに表面的な描き方に思えて物足りません。だか
ら、展開に納得がいかないし、唐突に見えてしまうことさえあります。

側用人の間部に対する月光院の狂おしいほどの恋心、天英院の月光院に対する
メラメラ燃える嫉妬心などはきちんと描かれているだけに、中心となるべきお
話が余計にペラペラに見えてしまうのです。

唯一、刑場での絵島と生島のシーンは、印象的でそれなりにググッときたので
すが……。

どうせなら、この際、テレビでは絶対に放送できないような、エロいぐらいの
愛と官能の映画にしてしまったらおもしろかったのでは？　初めて知った男の
身体によって狂っていく絵島とか（笑）。まあ、後日のテレビ放映を前提にし
ているから、それも不可能でしょうけど。

というわけで、仲間由紀恵、西島秀俊という若手実力派もかすんでしまいまし
た。むしろ、井川遥、高島礼子、杉田かおる、浅野ゆう子、松下由樹あたりの
女の情念のぶつかり合いが見応えあり。いくらロンリーな男性でも、ああいう
人たちには近づきたくないですよねぇ～（笑）。

まあテレビドラマと同じ魅力はあるので、そっちのファンの方は十分に満足で
きるのではないでしょうか。あとは、豪華セットや艶やかな衣装でもお楽しみ
ください。

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆
（テレビドラマの魅力はそのままなので、ファンの方はどうぞ。それ以外の方
がわざわざ観るほどの映画とは思えませんが）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年1月7日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時の回

[「お」のページ]