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オーケストラ！（LE CONCERT）
（2009年 フランス）（上映時間2時間4分）
監督：ラデュ・ミヘイレアニュ
出演：アレクセイ・グシュコブ、ドミトリー・ナザロフ、メラニー・ロラン、
フランソワ・ベルレアン、ミュウ＝ミュウ、バレリー・バリノフ、アンナ・カ
メンコバ、リオネル・アベランスキ、アレクサンダー・コミッサロフ、ラム
ジー・ベディア
＊Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほかにて全国公開
ホームページ http://orchestra.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
ロシアのボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働くアンドレイ（アレクセ
イ・グシュコブ）は、かつては天才指揮者として知られていたが、30年前の共
産主義政権下で、楽団からユダヤ人演奏家が排斥されることに反対したため解
雇されていた。今もいつか復職することを夢見るアンドレイは、ある日、パリ
のシャトレ座から送られてきた出演依頼を目にしたことから、かつての仲間を
集めて偽のオーケストラを結成することを思いつくのだが……。
＜レビュー＞
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復活を目指す男が画策した偽オーケストラをめぐる笑いと感動の物語
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ロシアとフランスを舞台にしたなんとも奇想天外なお話。セリフもロシア語と
フランス語が飛び交います。
旧ソ連時代に国に逆らってクビになり、今は劇場の清掃員として働く元天才指
揮者。たまたまパリの劇場からボリショイ交響楽団に届いた出演依頼を最初に
目にしたことから、昔の仲間を集めて偽のオーケストラを結成して、パリで演
奏しようと画策する……。
オープニングは指揮をする主人公アンドレイ。といってもオーケストラの練習
風景を清掃員として盗み見して、指揮者になった気分を味わっているだけ。す
ぐに怒られてオシマイ。
このシーンだけで、彼がいかに復活を熱望しているかがわかります。前半は、
そんな彼がたまたま目にした出演依頼をきっかけに、かつての仲間たちを集め
て偽のオーケストラ結成に向けて奮闘します。
登場する人物がいずれもクセモノ揃い。救急車の運転手、ポルノ映画の効果音
担当など、今はみんな様々な職業で生計を立てている元楽団員。それをまとめ
るマネージャー役は、なんと30年前にアンドレイをクビにした張本人の共産党
幹部。
マネージャーと先方の劇場とのメチャクチャな交渉過程、空港のロビーで堂々
と偽造旅券を製作する場面（しかもその首謀者が実はバイオリンの名手）など、
爆笑のシーンの連続です。
よく考えれば、あり得ないことの連続。そもそも30年も音楽から離れていた人
たちが、こんな短期間で公演などできるはずがありません。しかし、小気味の
いいストーリー展開と演出のおかげで、そんなことは気になりません。
かつての共産主義政権下のロシアの社会状況はもちろん、大金持ちの"ガス王"
の贅沢三昧など今の世相も巧みに織り込んでいます。
中盤以降は、いよいよパリに入った偽オーケストラの行状を描写。フランス共
産党との協力強化をもくろむマネージャー、キャビアを売り始めるユダヤ人親
子など、みんなデタラメばかり。おかげで満足なリハーサルもできず。
そんな中で、主人公のアンドレイと彼が指名した若き女性バイオリニストとの
間に、波風が立ちます。実はそのバイオリニストに関する大きな秘密があって、
アンドレイは真相を明かせずに悩みます。
クライマックスはその秘密と演奏が重なる感動のコンサートシーン。チャイコ
フスキーの「ヴァリオリン協奏曲」が情感タップリに演奏され、それをバック
にバイオリニストの秘密が明かされます。登場人物それぞれの思いがひとつに
なっていく盛り上げ方が見事で、思わずホロリとさせられました。最後は映画
の中の観客ととともに思わず拍手がしたくなりました。
アンドレイ役のロシアの俳優アレクセイ・グシュコブ、若きバイオリニスト役
の『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロランなど配役もピッタリ。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（1／2★）
（ユニークなストーリー展開と小気味のいい演出で、楽しく笑えるコメディ。
ラストには感動も。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年4月18日（日）Bunkamuraル・シネマにて。午後1時20分の回
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