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アウトレイジ
（2010年 日本）（上映時間1時間49分）
監督・脚本・編集：北野武
出演：ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、三浦友和、國村隼、杉本哲太、塚本
高史、中野英雄、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗
＊丸の内ルーブルほかにて公開
ホームページ http://office-kitano.co.jp/outrage/
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＜ストーリー＞
関東一円を仕切る暴力団・山王会の若頭の加藤（三浦友和）は、傘下の池元組
と弱小ヤクザの村瀬組の接近を警戒し、池元組組長（國村隼）に村瀬組を締め
るよう命じる。池元はその役目を配下の大友組組長（ビートたけし）に押し付
ける。そんな中、村瀬組が仕切るぼったくりバーに、大友組の組員が引っかか
るのだが……。
＜レビュー＞
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これはユニーク！暴力をネタにした笑えるエンタメ映画
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北野武監督の新作は、久々のバイオレンス映画。ただし、過去のバイオレンス
映画とはずいぶん雰囲気が違います。
描かれるのはヤクザ組織のいざこざ。裏切り、謀略などはあるものの、それほ
どヒネッたストーリーではありません。先が読めるし、最後に笑う男もだいた
い見当がつきます。
これといった人間ドラマもありません。登場人物が背負ったものや暴力の源泉
なども描かれず。バイオレンス映画といっても、人間の暴力性に迫るような深
いテーマ性もありません。
だいいち肝心の暴力シーンがあまり痛さを感じさせません。確かに指をつめた
り、顔面をぶった切るようなエグイ場面もあるけれど、総じて様式美のようで
生々しさはありません。
むしろこれだけ暴力のテンコ盛りだと、コワイどころか笑ってしまいます。
「全員悪人」というキャッチフレーズの通り、ヤクザはもちろん警官までもが
ワル。金と利権、出世欲のためにひたすら暴力を振るいまくる男たち。まるで
あいさつのように殴り、斬りつけ、撃ちまくり、そしてあっさり死んで行く。
その姿は滑稽にしか見えません。
むむ、もしかして、これってバイオレンス映画というよりは、コメディー色の
強いエンターティメント映画なのではあるまいか？？？
そういえば、石橋蓮司演じる組長が登場するシーンをはじめ笑いどころがタッ
プリ。すべては北野監督の狙い通りなのかも。
だとすれば、これは実にユニークな映画です。暴力をネタに、こういう映画を
撮れるのは稀代のコメディアンのビートたけし＝北野武ならではでしょう。そ
ういう視点で観れば、なかなか面白い映画だと思います。
ただし、エンターティメントにするのなら、もっと突き抜けたところがあって
もよかった気はしますけれど……。徹底的に笑わせてくれるとか、ドキドキさ
せてくれるとか。そうしなかったのも北野監督の意図かもしれませんが。
これまであまり北野映画に登場しない人たちを意外な役に配したキャストもユ
ニークです。加瀬亮、三浦友和、小日向文世あたりは、特に意外性があって楽
しめました。
≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（いわゆるバイオレンス映画として観ると物足りないけれど、暴力を素材にし
たエンタメ映画として観るとそれなりに楽しめると思います。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年6月13日（日）池袋東急にて。午後4時30分の回
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