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パコと魔法の絵本
（2008年 日本）（上映時間1時間45分）
監督：中島哲也
出演：役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、
加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也
＊有楽座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.paco-magic.com/
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＜ストーリー＞
奇妙な人ばかりが集まるある病院に、偏屈な大富豪・大貫（役所広司）が入院
していた。嫌われ者の彼は、ある日、交通事故で両親を失い、その後遺症で記
憶が１日しか持たない少女パコ（アヤカ・ウィルソン）と出会い、自分の人生
を見つめ直す。パコのために何かしてあげたいと思った大貫は、病院のみんな
にある提案をするのだが……。
＜レビュー＞
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中島ワールド全開のファンタジックなファミリー映画
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『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督の新作は、舞台劇『MIDSUMM
ER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』の映画化。中島監督の過去の作品は、娯楽
性とドラマ性が融合し、しかもどこかファンタジックなテイストが漂う映画。
その特徴は今回も、そのまま発揮されています。
舞台は風変わりな病院。医者もヘンなら、看護婦もヘン、患者もやっぱりヘン。
なかでも困り者の患者が、大金持ちの偏屈老人の大貫。"お前が私を知っている
だけで腹が立つ"が口癖で、みんなから嫌われているこの老人が、事故で記憶が
１日しか持たない少女と出会い、自分の過去の人生を反省し、少女のために彼
女の好きな絵本を劇にして上演しようとするお話。
まず目につくのが極彩色の映像。過去の作品もそうでしたが、今回は一段と鮮
やかです。
そして、あまりにも強烈な個性の登場人物たち。役所広司演じる大貫を筆頭に、
國村隼演じるオカマ、妻夫木聡演じる元名子役、土屋アンナ演じる看護師、同
じく小池栄子演じる看護師など、いずれも超ド級の強烈キャラ。
さらに、阿部サダヲが狂言回しとなってくり広げられる、ややマニアックなノ
リのギャグの乱れ撃ち。まるで爆笑コメディーのような展開で、映画は進んで
いきます。
いやぁ〜、とにかく楽しい映画です。ボクのような大人、それもハジケた笑い
が大好きな人間にとっては、特に楽しめます。
しかし、一応「ファミリー映画」と銘打っているのに、こんなぶっ飛んだ映画
で大丈夫なのか？ はたして、これがお子様に受けいれられるのか？
しかも、ドラマ的な側面では、中島作品にしては底が浅くてイマイチ物足りな
い気も……。
だが、心配はいりません。中盤以降は、ドラマ的にも見応えがあります。大貫
がパコと出会って、自分の過去を反省するドラマ。落ちぶれた子役とそれを立
ち直らせようとする看護師のドラマ、何年も会っていない娘を思うオカマのド
ラマなどの様々なドラマが、さりげない感動を与えてくれるんです。
そして、お子様たちも無条件に楽しめるのがクライマックスで上演される劇。
これははっきり言ってスゴイです。ＣＧキャラクターと実写を大胆に組み合わ
せて、底抜けに明るくて楽しい世界をつくりあげています。ティム・バートン
の『チャーリーとチョコレート工場』と似た雰囲気もありますが、楽しさはこ
ちらのほうが上かも。
そして、ここにいたっても、オバカな笑いがサクレツ。なんと空からバケツが
……。ドリフじゃん！（笑）
悲惨すぎるお話の『嫌われ松子の一生』でさえ、ハートウォーミングな雰囲気
を漂わせた中島監督。今回も観終わって、温かな気持ちにさせてくれます。役
者たちの怪演ぶりも見事で、笑いと興奮と感動を一度に味わせてくれる楽しい
映画です。
その才能がちょっとうらやましくもある中島監督。次はいったいどんな世界を
見せてくれるのでしょうか。
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（無条件に楽しい中島ワールド。よくもまあこんな映画がつくれるもの。大人
も子供も楽しめます。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年9月13日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後12時15分の回
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