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パレード
（2010年 日本）（上映時間1時間58分）
監督・脚本：行定勲
出演：藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介、竹財輝之助、野
波麻帆、中村ゆり、正名僕蔵、キムラ緑子、石橋蓮司
＊シネクイント、新宿バルト9ほかにて全国公開
ホームページ http://www.parade-movie.com/
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＜ストーリー＞
都内のマンションをルームシェアする４人の男女。映画会社に勤める健康オタ
クの直輝（藤原竜也）、イラストレーターで雑貨屋店員の未来（香里奈）、大
学生の良介（小出恵介）、若手人気俳優と交際中の無職の琴美（貫地谷しほ
り）。ある時、彼らのマンションに男娼のサトル（林遣都）が転がり込んでく
る。それをきっかけに、彼らの日常は少しずつ変化していく。時を同じくして、
近所では女性連続暴行事件が多発していた……。
＜レビュー＞
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4人の男女の共同生活を通して現代の人間関係を鋭く突く！
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第15回山本周五郎賞を受賞した吉田修一の同名小説を『世界の中心で、愛をさ
けぶ』などの行定勲監督が映画化。行定監督の前作『今度は愛妻家』はちょっ
と残念な映画でしたが、今回はかなり面白い映画です。
マンションで同居する４人の男女。いわゆるルームシェアですね。そこにナゾ
の男が入り込んできて、４人の生活に少しずつ変化が起きます。おりしも、マ
ンション近くでは女性連続暴行事件が発生しています。
オープニングは、大学生の良介が自室で目覚めるシーン。リビングに行くと、
そこでは琴美がテレビを見ています。その後、しばらくして直輝や未来も登場
して、彼ら４人が同居生活を送っていることがわかります。
一見、楽しく仲良く暮らしているように見える４人ですが、実はそれぞれが
様々な事情を抱えています。行定監督は、そんな４人の性格や行動をリアルに
描いていきます。良介が先輩の彼女を好きになって告白できずに悩んでいるこ
と、琴美と若手人気俳優とのヒミツの関係、酒癖の悪い未来の心の傷など……。
やがて、ナゾの男・サトルの出現によって、彼らの身の回りに変化が起き始め
ます。といっても劇的な変化ではなく、微妙な変化です。それをきちんと写し
取っていく行定監督の脚本・演出が光ります。
この映画のテーマは現在の世の中における人間関係。４人が住むマンションの
隣室は怪しげな雰囲気で、彼らはそこが売春に使われているのではないかと疑
います。そんな隣室に誰が住むかもわからない社会状況の中で、４人は理想的
な人間関係を築いているようにも思えます。
しかし、実際はそうではありません。それぞれが本音を隠したり、都合の悪い
ことに目をつぶったり、曖昧な態度をとったりして、うわべのつきあいをして
いるのです。共同生活を成立させるには、どこかで妥協したり我慢することが
必要になります。しかし、彼らのうわべのつきあいは、それとは違う感じです。
彼らの共同生活について「ネットのチャットみたいなもの」といった表現が登
場します。お互いに顔を突き合わせている空間なのに、顔の見えないネットと
同じだという不思議で不気味な感じ。やがてそうしたうわべの関係が予期せぬ
事態を招きます。
ラスト近くでは、ついに連続暴行事件の犯人が明らかになります。犯人自体は
それほど意外ではありませんでしたが、問題はその後です。彼らは本当にその
人物が犯人だと知っているのか？？？ 知っていながら、さらにうわべでつき
あっていこうとするのか？？？ うーむ、観終わってなんとも表現しにくい複
雑な感情が残りました。
「人と人との絆は素晴らしい」的なメッセージを発する映画が多い中で、この
映画は異質な香りを放っています。現代社会の人間関係について、すぐには答
えの出ない重たいテーマを投げかけています。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（若手俳優出演の青春群像劇ではあるものの、現代社会を切り取った問題作。
衝撃の大きさはかなりのものです。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年2月21日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後3時50分の回
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